EDH環境の変遷について
2020年7月24日 Magic: The Gathering気がつけばEDHをはじめて10年以上経ってた。途中ブランクがあるから、連続して10年やっていたわけではないけど、一番力を入れて遊んでいるフォーマットには変わりない。
当初はロフェロスが禁止されていて、wikiによると2009年3月20日に一旦解除されている。多分、その前からやっていた記憶がある。この辺は曖昧。
自分が始めたときには、ジェネラルでブレイズも普通に使えていた。これが禁止になったのは2009年6月20日。
メールの整理していたら2009年7月頃に再建とかEDHでしか使わないカードのFOIL購入の履歴もあったから、既にどっぷりつかってたらしい。
今では色んなコミュニティで成熟したデッキがいくらか存在しているが、当時は身内対戦が主体、たまにGPのサイドイベントに参加する程度だった。明らかにコミュニティ間でデッキの完成度というか、ガチ度に差があって勝負にならなかったけど。
今回は自分目線でのEDHの変遷について語ろうかと思う。ところどころ抜けてるかもしれないし、特に黎明期はコミュニティ内での議論しか無かったので、あまり皆さんには実感のないことかもしれないが、EDHおじさんの自分語りということでご容赦を。
★黎明期
ロフェロスがジェネラルに出来て、トレイリアのアカデミーが使えた時代。
この時はロフェロス vs 青茶といっても過言ではない。
当時コンボなどあまり開発されていないところで、メジャーな即死コンボとしては
・Power Artifact + モノリス
・ブライトハースの指輪+玄武岩のモノリス
・ブライトハースの指輪+トレイリアのアカデミー+さびれた寺院
・潮吹きの暴君
こういった青茶無限マナ➡ウーナみたいな流れが定番だった。この時、Power Artifactはまだ1500円。
もちろん、隠遁ドルイド、あざみ+精神力なども存在したが、我々のコミュの中では成熟するほどにはなっていなかった。これにはもう一つ理由があって、ロフェロスがあまりにも早くて強かったため、単体除去がかなり意識されていたこともある。
今の緑単のマーウィンやセルヴァラと違って、ロフェロスは土地を並べることが暴走する条件。そのため、余分な生物は入れる必要が無くて、スカイシュラウドの要求などで土地を並べていくだけなので、除去してもすぐ出て来てしまう。これが非常に厄介だった。神話送りや神聖なる埋葬では間に合わない…
ただ一方でロフェロス側も、今の緑ほどドローが充実していなかったので、ウルザの青写真を通電式キーでアンタップなんてことを真面目にやっていた。
それでもロフェロスは強くて、二人ぐらいで抑えに行かないとなかなか勝てなかったんだが。
この強すぎるロフェロスへの対策として、白羽の矢が立ったのが、金粉のドレイク。軽量のコントロール奪取は再キャストを許さないのでロフェロスを沈黙させるのに最適だった(当時は家路もないので、子守り大トカゲで取り返すしかなかった)。そして、この金粉のドレイクは統率者というシステム上、対ロフェロス以外でも大活躍することがすぐにわかり、一気に青の定番カードにのし上がった。
金粉のドレイクは、当時、他のフォーマットでたまにサイドに入る程度のものだっただかに、これをメインから入れるというのはある意味で画期的。だが、EDH特有の環境に足を踏み入れたとも言える。今では完全に落ち目なウーナだが、当時ロフェロスやズアーと渡り合えたのはこのカードのおかげと言っても過言ではない。
ロフェロス vs 青がメインだったため
金粉のドレイク
セファリッドの女帝、ラワン
自己洞察
花の絨毯
子守り大トカゲ
こういったピンポイント対策が普通にメインに入っていた。
メインラワンとか頭沸いてるのかと思われるかも知れないが、環境には青かロフェロスしかいないし、相手のドレイクを封殺、当時よく使われていたエレンドラ谷の魔道士を難なく処理でき、場合によっては自分のドレイクを回収しちゃって、ヤバいスペックだった。環境が今よりももっと青によってて、今よりもコンボが重かったからこその採用。
アーティファクトの無限コンボは、そんなに早くないために、
クローサの掌握
拭い捨て
といった刹那除去が信頼できる妨害としてよく使われていた。
多人数特有の、「まずは自分が損をしないこと」という動きから、秘儀の否定は当初から本当にお世話になった。EDHの黎明期にはカウンターは1:1交換で弱いなんて、散々色んなところで言われてたけど、とんだカジュアルプレイヤーだなとずっと思っていた。当時からコンボを抑えるカウンターは普通に強い。
★エルフの台頭
ロフェロスが2010年6月に統率者としての使用が禁止、同時にトレイリアのアカデミーが禁止になったころ。
ロフェロスが圧倒的だっただけで、エルフ自体がEDHで戦えるコンセプトであることがわかり、ティタニアの僧侶など横に並べて威厳の魔力という、今の緑と変わらないようなデッキが台頭した。そもそもEDHではマナ加速とドローが大事であり、その二つに優れるエルフが使われない理由は無かった。
このころネットでもちょくちょくEDHの話が出るようになり、モノリスを始めとした青い無限コンボが知れ渡ることとなったが、こういったコンボデッキ対策で生物除去が薄くなり、アーティファクト対策が厚くなるとエルフはとても動きやすかった。今でもそうだが、1マナクリからのスタートはアーティファクト主体で印鑑が基本的になってしまうものよりも一手早いのも良い。
ドレイクを子守り大トカゲでカバー出来る点も大きい。例えば艦長シッセイを何度もアンタップさせてヘイトベアーを並べるデッキは、アーティファクト主体のデッキでは完封される勢いだった。
また、エルフの台頭の理由として、エムラクールの存在も大きい。
エムラクールを出したり戻したりする無限ターンコンボはもちろん、マナ加速してクリーチャーをサーチするだけでゲームを制することが出来たので、緑のデッキが最終的には目指すゴールとして都合が良い。
モミールではチェインコンボのゴールとして、シッセイではロフェロスやガイアの揺籃の地を集めて普通にキャスト、嘆きの井戸、未練でサクってサーチして再キャストを繰り返す無限ターンコンボとして活躍した。
★エムラクールの禁止
2010年12月頃、エムラクールは半年くらいで禁止になってしまった。
緑の強さを支えるカードだっただけに辛い。
青が万遍なく強いカードが揃っているのに対して、緑はロフェロスやエムラクールなど特定の強カードに依存する形だったので、目につきやすくて叩かれやすい。青一強になってしまうと嘆いたものである。
このころ、公式でもEDHを紹介する記事が沢山有ったが、エムラクール禁止直後くらい?にはマナ吸収を推奨するくらいの、かなりのガチ寄りの考察があった(今はリンク辿っても閲覧できなかった)。最近ではカジュアルよりな内容しかないのにね。
★統率者デッキの登場
2011年6月。
カジュアルフォーマットなのに公式セットが出るというのは革新的だった。最初のセットだけあって変な強さのリミッターがなく、面白くて魅力的な内容だった。
アニマー
エドリック
擬態の原形質
カーリア
リクー
中には一世を風靡したり、環境の変化でいきなり強ジェネラルになったり。最近の統率者セットは、絶妙に弱いトラシオスが実はクソ強かったと言うことを除いて、能力にかなり制限がかけられてて面白くないんだよね。
実は統率者セットの発売時には、おにぎり(Phyrexian Devourer)は旧オラクルのためコンボに使えず、擬態の原形質はまだ力を発揮できていなかった。
ちなみにこのセットは、
狼狽の嵐
家路
統率の塔
という今でもお世話になる、基本的な強カードも追加された。
自分はエムラクール禁止で落ち目だったエルフを捨て、リクーやアニマーを調整。アニマーはこの後結構長いこと使うことになった。
★研究室の偏執狂とおにぎり
2011年9月。
研究室の偏執狂という革命的なフィニッシャーが登場。今ではタッサの神託者に置き換わってしまったが、当時はびっくりする性能だった。
それまで青茶はパワーモノリスやブライトモノリスが主流だったため、アーティファクト対策や沈黙のオーラで勝ちきれなくなることがあった。しかし研究室の偏執狂ならば対策の上から軸をずらして勝てる。
また、この時期にPhyrexian Devourerにエラッタが入り、生き埋め+再活性のウーズコンボが登場。今ではタッサの神託者の影に隠れているが、当時は隠遁ドルイドにしても、パワーモノリスにしても、即死コンボはピン除去ではじけたため、器用に立ち回る上でもインスタントの軽い除去がかなり重視されていたが、ピン除去が効かないコンボということで、ある意味でこっちの方が画期的だったかも。その上、当時は多くのコンボよりも軽かったし。のちに自分は一時休止までウーズコンボをメインに使い続けたが、本当に強かったと思う。
ちなみに、この後、プレインチェイスで大渦の放浪者が追加されるなど、この年はEDH的にかなり熱い年だったな。
さらに余談だが、研究室の偏執狂の登場後に、デッキの総コストを28におさえて、大量のチューター➡むかつきで全部めくるデッキを組んでみたりもした。後に似たコンセプトのデッキで初見殺しをして、どこかの誰かが9927とイキってたアレ。むかつきで全部捲る構築はその前から存在しており、当初は突撃の地鳴りしかなくて微妙に不安定だったのだが、研究室の偏執狂の登場でマナの捻出は楽になった。
★Timetwisterの流行
2012年頃、7ドローがめちゃくちゃ流行ったことがあり、これに合わせて手札を使い切れるような構築が流行った。
ただ、今思えばこのTT環境の構築なんて欠陥だらけ。展開だけしてTT使ってまた並べるだけ、勝つために大分遠回りする構築で、安定して妨害を打つことも出来ない。
当時感じていたTimetwisterの違和感を今なら説明できるけど、何となく流行っていたとか、最先端行ってるぜ的なマウントを取りたいだけだった構築ともいえる。とはいえ、この時期に無駄にTTを使っていたからこそ、今の考え方があるとも言える。
この辺りでEDHの人口はかなり増えてきて、とにかく速度重視とか、コンセプトにあってないのに何でも金属モックス、モックスダイアモンド、水蓮の花びらと無造作に突っ込んだデッキが多く、手札がすぐにスカスカになるので、ある意味でTTが流行るのは必然だったかも知れない。この辺りも、現代の構築では無駄にアドを失うマナを突っ込んで、本来ある程度遅いコンセプトのデッキがスピードだけ特化して歪むと言うことは少なくなったので、Timetwisterは適正に使用されるようになった。
一方で、エドリックの無双が話題になったのも確かこの頃。ガチャガチャだけしてるデッキを尻目に、エルフデッキの再隆盛である。隠遁ドルイドデッキも一つの完成形が出来たのはこの頃かな?もう少し前かも。
このころ、自分はメインデッキだったアニマーから、ウーズコンボ主体の擬態の原形質に乗り換えつつあった。
これくらいの時期から、デッキの無駄牌論議があり、おにぎりウーズはしばしばディスられる対象だったのだが、無駄牌を上回る決定力があり、デッキリストの不格好さに反して勝率は高かった。この辺りは、後のハルクフラッシュに通じるものがある。結局、無駄が少なくてまん丸な決定力が低いデッキよりも、ある程度の死に札を許容した止めにくいコンボの方が強いんだと。
★9927
狼狽の嵐やその他多数の妨害をくぐり抜けて3KILL。
9戦9勝27人斬り。
一部の人達がはしゃいでたアレ。
結果的には、デッキの総コストを落としてむかつきで全部捲るという既知のデッキで初見殺しをしていただけ。
僕はその場には居なかったので、当時はとても疑問に思っていた。狼狽の嵐をかいくぐる安定3KILLなんて無理なんだが、これはむかつきを通して貰う前提なら可能な話。
この時に現場にいなかった自分は色々考察して答えに辿り着けなかった。いや、正確にはむかつきでデッキを引っ繰り返すデッキについて挙げてみたが、強烈な妨害耐性ということを真面に受けて除外していた(その辺りの考えは2012年12月17日の秘密日記に残っていた)。
結果的には素人を初見殺したという要素が抜けていただけだった、単純な話。
また、ガチデッキ相手に9927したったわ、みたいな話になっていたが、そもそもこのデッキが勝てた理由は二つ。
当時はEDHが順調に人口を増やしており、カードは揃っているけどプレイングが疎かな人が多かったこと。つまり、変成を含むショボいチューターを挟んで、自爆ランドや儀式系カードから無理やりむかつきを使われたときに、どうなるか知らない人が多かったと言うこと。自爆ランドを使っていたかは知らないが、不自然なむかつきの打ち方から、デッキの総コストを抑えたデッキの存在を想起できてなかったわけで、集まったのはガチ勢ではないんじゃないかと。
もう一つは、TT環境とかいって、適当にぐるぐる回して、勝ちに近づいてるのかどうか分からないデッキが多く、妨害が疎かになりがちだったこともある。
もちろん今では全く通用しないデッキだが、初見殺しをされないために、色んなデッキの知識を持つことは大事なことだよね。
★森林の始源体
悪夢の環境。
2013年、ギルド門侵犯で登場したぶっ壊れカード。
当時、擬態の原形質のウーズコンボを使っていたが、このカードのおかけで相当に強化された。
納墓+再活性などで早めに登場して相手とマナ差をつけ、幻影の像、ファイレクシアの変形者などでコピーを繰り返してゲームセット。幻影の像は、相手に森林の始源体を使われたときに、自分だけ抜け出すためにも大事なカードだった。
こんなぶっ壊れカードが1年くらい使えたのも、今思えばヤバい話である。
リアニメイトで早く出す、コピーをする、これが出来ないデッキが生き残るのは本当に大変だった。
この後しばらくは自分は引退状態だったので、語れるほどもない。ほそぼそとは続けていたけどね。DNも3年くらい放置してたが、色々あって再開。ちょうど、トラシオスが登場した2016年頃から本腰を入れはじめた。
当初はトラシオスの真の強さ(絶妙な弱さのために立ち回りでアドを稼げること)に気付いてなかったし、旧世代の構築を持ちこんで一時期はあんまり強くないなんて恥ずかしいことも言っていた。そうして、少し経つと変幻の大男解禁で、ハルクフラッシュ環境に。トラシオス&ティムナはハルクフラッシュには最適なジェネラルで、不覚にもハルクを使うことで、その真の強さに気付くことが出来た。
ハルクフラッシュ環境では、ハルクの中身の選別から、トラシオス&ティムナの立ち回りまで含めた構築を、ゼロから自分なりに納得するレベルまで完成させられたので満足度が高い。
今はトラシオス&ティムナの真の強さが知れ渡り、ハルクも落ちて正直言ってtier 0と言えるほどのパワーは無い。何よりもティムナがすぐに叩かれるようになったので、額面のスペックが最強だけど勝てないジェネラル筆頭のズアーと同じパラドックスに近づいてしまった。とはいえ、ティムナが盤面最強の座に君臨することはなくて、結構生存するゲームもあるので、まだまだ戦えるけど。
こんな感じで、自分的EDHの歴史語りは終わり。記憶と記録を頼りに書いてみたけど、もうちょっとその時の環境に対する考察を掘り下げるつもりだったが、正直言って忘れてる部分もあって、まあまあの内容に。また思い出したら書き足そうと思います。
当初はロフェロスが禁止されていて、wikiによると2009年3月20日に一旦解除されている。多分、その前からやっていた記憶がある。この辺は曖昧。
自分が始めたときには、ジェネラルでブレイズも普通に使えていた。これが禁止になったのは2009年6月20日。
メールの整理していたら2009年7月頃に再建とかEDHでしか使わないカードのFOIL購入の履歴もあったから、既にどっぷりつかってたらしい。
今では色んなコミュニティで成熟したデッキがいくらか存在しているが、当時は身内対戦が主体、たまにGPのサイドイベントに参加する程度だった。明らかにコミュニティ間でデッキの完成度というか、ガチ度に差があって勝負にならなかったけど。
今回は自分目線でのEDHの変遷について語ろうかと思う。ところどころ抜けてるかもしれないし、特に黎明期はコミュニティ内での議論しか無かったので、あまり皆さんには実感のないことかもしれないが、EDHおじさんの自分語りということでご容赦を。
★黎明期
ロフェロスがジェネラルに出来て、トレイリアのアカデミーが使えた時代。
この時はロフェロス vs 青茶といっても過言ではない。
当時コンボなどあまり開発されていないところで、メジャーな即死コンボとしては
・Power Artifact + モノリス
・ブライトハースの指輪+玄武岩のモノリス
・ブライトハースの指輪+トレイリアのアカデミー+さびれた寺院
・潮吹きの暴君
こういった青茶無限マナ➡ウーナみたいな流れが定番だった。この時、Power Artifactはまだ1500円。
もちろん、隠遁ドルイド、あざみ+精神力なども存在したが、我々のコミュの中では成熟するほどにはなっていなかった。これにはもう一つ理由があって、ロフェロスがあまりにも早くて強かったため、単体除去がかなり意識されていたこともある。
今の緑単のマーウィンやセルヴァラと違って、ロフェロスは土地を並べることが暴走する条件。そのため、余分な生物は入れる必要が無くて、スカイシュラウドの要求などで土地を並べていくだけなので、除去してもすぐ出て来てしまう。これが非常に厄介だった。神話送りや神聖なる埋葬では間に合わない…
ただ一方でロフェロス側も、今の緑ほどドローが充実していなかったので、ウルザの青写真を通電式キーでアンタップなんてことを真面目にやっていた。
それでもロフェロスは強くて、二人ぐらいで抑えに行かないとなかなか勝てなかったんだが。
この強すぎるロフェロスへの対策として、白羽の矢が立ったのが、金粉のドレイク。軽量のコントロール奪取は再キャストを許さないのでロフェロスを沈黙させるのに最適だった(当時は家路もないので、子守り大トカゲで取り返すしかなかった)。そして、この金粉のドレイクは統率者というシステム上、対ロフェロス以外でも大活躍することがすぐにわかり、一気に青の定番カードにのし上がった。
金粉のドレイクは、当時、他のフォーマットでたまにサイドに入る程度のものだっただかに、これをメインから入れるというのはある意味で画期的。だが、EDH特有の環境に足を踏み入れたとも言える。今では完全に落ち目なウーナだが、当時ロフェロスやズアーと渡り合えたのはこのカードのおかげと言っても過言ではない。
ロフェロス vs 青がメインだったため
金粉のドレイク
セファリッドの女帝、ラワン
自己洞察
花の絨毯
子守り大トカゲ
こういったピンポイント対策が普通にメインに入っていた。
メインラワンとか頭沸いてるのかと思われるかも知れないが、環境には青かロフェロスしかいないし、相手のドレイクを封殺、当時よく使われていたエレンドラ谷の魔道士を難なく処理でき、場合によっては自分のドレイクを回収しちゃって、ヤバいスペックだった。環境が今よりももっと青によってて、今よりもコンボが重かったからこその採用。
アーティファクトの無限コンボは、そんなに早くないために、
クローサの掌握
拭い捨て
といった刹那除去が信頼できる妨害としてよく使われていた。
多人数特有の、「まずは自分が損をしないこと」という動きから、秘儀の否定は当初から本当にお世話になった。EDHの黎明期にはカウンターは1:1交換で弱いなんて、散々色んなところで言われてたけど、とんだカジュアルプレイヤーだなとずっと思っていた。当時からコンボを抑えるカウンターは普通に強い。
★エルフの台頭
ロフェロスが2010年6月に統率者としての使用が禁止、同時にトレイリアのアカデミーが禁止になったころ。
ロフェロスが圧倒的だっただけで、エルフ自体がEDHで戦えるコンセプトであることがわかり、ティタニアの僧侶など横に並べて威厳の魔力という、今の緑と変わらないようなデッキが台頭した。そもそもEDHではマナ加速とドローが大事であり、その二つに優れるエルフが使われない理由は無かった。
このころネットでもちょくちょくEDHの話が出るようになり、モノリスを始めとした青い無限コンボが知れ渡ることとなったが、こういったコンボデッキ対策で生物除去が薄くなり、アーティファクト対策が厚くなるとエルフはとても動きやすかった。今でもそうだが、1マナクリからのスタートはアーティファクト主体で印鑑が基本的になってしまうものよりも一手早いのも良い。
ドレイクを子守り大トカゲでカバー出来る点も大きい。例えば艦長シッセイを何度もアンタップさせてヘイトベアーを並べるデッキは、アーティファクト主体のデッキでは完封される勢いだった。
また、エルフの台頭の理由として、エムラクールの存在も大きい。
エムラクールを出したり戻したりする無限ターンコンボはもちろん、マナ加速してクリーチャーをサーチするだけでゲームを制することが出来たので、緑のデッキが最終的には目指すゴールとして都合が良い。
モミールではチェインコンボのゴールとして、シッセイではロフェロスやガイアの揺籃の地を集めて普通にキャスト、嘆きの井戸、未練でサクってサーチして再キャストを繰り返す無限ターンコンボとして活躍した。
★エムラクールの禁止
2010年12月頃、エムラクールは半年くらいで禁止になってしまった。
緑の強さを支えるカードだっただけに辛い。
青が万遍なく強いカードが揃っているのに対して、緑はロフェロスやエムラクールなど特定の強カードに依存する形だったので、目につきやすくて叩かれやすい。青一強になってしまうと嘆いたものである。
このころ、公式でもEDHを紹介する記事が沢山有ったが、エムラクール禁止直後くらい?にはマナ吸収を推奨するくらいの、かなりのガチ寄りの考察があった(今はリンク辿っても閲覧できなかった)。最近ではカジュアルよりな内容しかないのにね。
★統率者デッキの登場
2011年6月。
カジュアルフォーマットなのに公式セットが出るというのは革新的だった。最初のセットだけあって変な強さのリミッターがなく、面白くて魅力的な内容だった。
アニマー
エドリック
擬態の原形質
カーリア
リクー
中には一世を風靡したり、環境の変化でいきなり強ジェネラルになったり。最近の統率者セットは、絶妙に弱いトラシオスが実はクソ強かったと言うことを除いて、能力にかなり制限がかけられてて面白くないんだよね。
実は統率者セットの発売時には、おにぎり(Phyrexian Devourer)は旧オラクルのためコンボに使えず、擬態の原形質はまだ力を発揮できていなかった。
ちなみにこのセットは、
狼狽の嵐
家路
統率の塔
という今でもお世話になる、基本的な強カードも追加された。
自分はエムラクール禁止で落ち目だったエルフを捨て、リクーやアニマーを調整。アニマーはこの後結構長いこと使うことになった。
★研究室の偏執狂とおにぎり
2011年9月。
研究室の偏執狂という革命的なフィニッシャーが登場。今ではタッサの神託者に置き換わってしまったが、当時はびっくりする性能だった。
それまで青茶はパワーモノリスやブライトモノリスが主流だったため、アーティファクト対策や沈黙のオーラで勝ちきれなくなることがあった。しかし研究室の偏執狂ならば対策の上から軸をずらして勝てる。
また、この時期にPhyrexian Devourerにエラッタが入り、生き埋め+再活性のウーズコンボが登場。今ではタッサの神託者の影に隠れているが、当時は隠遁ドルイドにしても、パワーモノリスにしても、即死コンボはピン除去ではじけたため、器用に立ち回る上でもインスタントの軽い除去がかなり重視されていたが、ピン除去が効かないコンボということで、ある意味でこっちの方が画期的だったかも。その上、当時は多くのコンボよりも軽かったし。のちに自分は一時休止までウーズコンボをメインに使い続けたが、本当に強かったと思う。
ちなみに、この後、プレインチェイスで大渦の放浪者が追加されるなど、この年はEDH的にかなり熱い年だったな。
さらに余談だが、研究室の偏執狂の登場後に、デッキの総コストを28におさえて、大量のチューター➡むかつきで全部めくるデッキを組んでみたりもした。後に似たコンセプトのデッキで初見殺しをして、どこかの誰かが9927とイキってたアレ。むかつきで全部捲る構築はその前から存在しており、当初は突撃の地鳴りしかなくて微妙に不安定だったのだが、研究室の偏執狂の登場でマナの捻出は楽になった。
★Timetwisterの流行
2012年頃、7ドローがめちゃくちゃ流行ったことがあり、これに合わせて手札を使い切れるような構築が流行った。
ただ、今思えばこのTT環境の構築なんて欠陥だらけ。展開だけしてTT使ってまた並べるだけ、勝つために大分遠回りする構築で、安定して妨害を打つことも出来ない。
当時感じていたTimetwisterの違和感を今なら説明できるけど、何となく流行っていたとか、最先端行ってるぜ的なマウントを取りたいだけだった構築ともいえる。とはいえ、この時期に無駄にTTを使っていたからこそ、今の考え方があるとも言える。
この辺りでEDHの人口はかなり増えてきて、とにかく速度重視とか、コンセプトにあってないのに何でも金属モックス、モックスダイアモンド、水蓮の花びらと無造作に突っ込んだデッキが多く、手札がすぐにスカスカになるので、ある意味でTTが流行るのは必然だったかも知れない。この辺りも、現代の構築では無駄にアドを失うマナを突っ込んで、本来ある程度遅いコンセプトのデッキがスピードだけ特化して歪むと言うことは少なくなったので、Timetwisterは適正に使用されるようになった。
一方で、エドリックの無双が話題になったのも確かこの頃。ガチャガチャだけしてるデッキを尻目に、エルフデッキの再隆盛である。隠遁ドルイドデッキも一つの完成形が出来たのはこの頃かな?もう少し前かも。
このころ、自分はメインデッキだったアニマーから、ウーズコンボ主体の擬態の原形質に乗り換えつつあった。
これくらいの時期から、デッキの無駄牌論議があり、おにぎりウーズはしばしばディスられる対象だったのだが、無駄牌を上回る決定力があり、デッキリストの不格好さに反して勝率は高かった。この辺りは、後のハルクフラッシュに通じるものがある。結局、無駄が少なくてまん丸な決定力が低いデッキよりも、ある程度の死に札を許容した止めにくいコンボの方が強いんだと。
★9927
狼狽の嵐やその他多数の妨害をくぐり抜けて3KILL。
9戦9勝27人斬り。
一部の人達がはしゃいでたアレ。
結果的には、デッキの総コストを落としてむかつきで全部捲るという既知のデッキで初見殺しをしていただけ。
僕はその場には居なかったので、当時はとても疑問に思っていた。狼狽の嵐をかいくぐる安定3KILLなんて無理なんだが、これはむかつきを通して貰う前提なら可能な話。
この時に現場にいなかった自分は色々考察して答えに辿り着けなかった。いや、正確にはむかつきでデッキを引っ繰り返すデッキについて挙げてみたが、強烈な妨害耐性ということを真面に受けて除外していた(その辺りの考えは2012年12月17日の秘密日記に残っていた)。
結果的には素人を初見殺したという要素が抜けていただけだった、単純な話。
また、ガチデッキ相手に9927したったわ、みたいな話になっていたが、そもそもこのデッキが勝てた理由は二つ。
当時はEDHが順調に人口を増やしており、カードは揃っているけどプレイングが疎かな人が多かったこと。つまり、変成を含むショボいチューターを挟んで、自爆ランドや儀式系カードから無理やりむかつきを使われたときに、どうなるか知らない人が多かったと言うこと。自爆ランドを使っていたかは知らないが、不自然なむかつきの打ち方から、デッキの総コストを抑えたデッキの存在を想起できてなかったわけで、集まったのはガチ勢ではないんじゃないかと。
もう一つは、TT環境とかいって、適当にぐるぐる回して、勝ちに近づいてるのかどうか分からないデッキが多く、妨害が疎かになりがちだったこともある。
もちろん今では全く通用しないデッキだが、初見殺しをされないために、色んなデッキの知識を持つことは大事なことだよね。
★森林の始源体
悪夢の環境。
2013年、ギルド門侵犯で登場したぶっ壊れカード。
当時、擬態の原形質のウーズコンボを使っていたが、このカードのおかけで相当に強化された。
納墓+再活性などで早めに登場して相手とマナ差をつけ、幻影の像、ファイレクシアの変形者などでコピーを繰り返してゲームセット。幻影の像は、相手に森林の始源体を使われたときに、自分だけ抜け出すためにも大事なカードだった。
こんなぶっ壊れカードが1年くらい使えたのも、今思えばヤバい話である。
リアニメイトで早く出す、コピーをする、これが出来ないデッキが生き残るのは本当に大変だった。
この後しばらくは自分は引退状態だったので、語れるほどもない。ほそぼそとは続けていたけどね。DNも3年くらい放置してたが、色々あって再開。ちょうど、トラシオスが登場した2016年頃から本腰を入れはじめた。
当初はトラシオスの真の強さ(絶妙な弱さのために立ち回りでアドを稼げること)に気付いてなかったし、旧世代の構築を持ちこんで一時期はあんまり強くないなんて恥ずかしいことも言っていた。そうして、少し経つと変幻の大男解禁で、ハルクフラッシュ環境に。トラシオス&ティムナはハルクフラッシュには最適なジェネラルで、不覚にもハルクを使うことで、その真の強さに気付くことが出来た。
ハルクフラッシュ環境では、ハルクの中身の選別から、トラシオス&ティムナの立ち回りまで含めた構築を、ゼロから自分なりに納得するレベルまで完成させられたので満足度が高い。
今はトラシオス&ティムナの真の強さが知れ渡り、ハルクも落ちて正直言ってtier 0と言えるほどのパワーは無い。何よりもティムナがすぐに叩かれるようになったので、額面のスペックが最強だけど勝てないジェネラル筆頭のズアーと同じパラドックスに近づいてしまった。とはいえ、ティムナが盤面最強の座に君臨することはなくて、結構生存するゲームもあるので、まだまだ戦えるけど。
こんな感じで、自分的EDHの歴史語りは終わり。記憶と記録を頼りに書いてみたけど、もうちょっとその時の環境に対する考察を掘り下げるつもりだったが、正直言って忘れてる部分もあって、まあまあの内容に。また思い出したら書き足そうと思います。
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