デッキに採用されているカードの個別の解説をつけることは、カードの採用ありきの後付けの理由になってしまい、純粋な考察から外れる危険がある(バイアスが入る)。

そもそもカードの採用理由には、デッキのコンセプトに合致するかどうかという根幹があるところに、多人数戦特有の対戦中の動きに合わせた採用、ハイランダー特有のコンボなどで直接リンクしないカード同士の配列や相性もある。極楽鳥とラノワールのエルフのように同じカテゴリーとして語るべきものもあり、この場合は個別の解説よりもトータルで同じ仕事をするものが何枚あるかのほうが大事になる。

こういった全体の要素を考えずに、個別解説ばかりに固執すると、まさに木を見て森を見ずという状態になる。


ともすると、勝ち手段のコンボばかりに目が行ってしまうEDHだが、よーいどんで最速コンボ合戦だけがEDHの戦いではない。むしろ最速コンボ合戦をするなら、不適合なデッキは沢山あって、トラシオス&ティムナもその一つ。最速コンボにジェネラルが全く寄与しない。

相手の最速の動きは妨害で弾いて自分のコンボを通す、ということになるのだが、相手の動きは妨害する前提なのに、自分のコンボは妨害されない前提で最速の動きだけ語るのはおかしくないか?スピードだけでは勝てないゲームが有るからこその、遅いデッキの存在価値なのに、そこを肯定できる要素がなければ、勝利を追求したデッキとは言い難い。


例えば、ケスに苦い真理を入れる理由は、

「3マナで3枚引けて強いから」
「墓地からもう一回使って6枚ドロー出来るから」

ではない明確な採用理由がある。それを書いてみようかと思う。


EDHではターン順によって、動き方は大きく変わると思う。例えばレガシーで、先手後手で目くらましの価値が変わるように、早い手番、遅い手番でカードの価値やデッキの動かし方が変わる。

特に遅い手番の人が早めにTimetwisterを使ってしまうのは最悪で、序盤は手順や引きによって、ゲーム開始時からトータルで使えるマナ差が瞬間的に2倍とかになるのに、自分がTimetwisterで3マナ消費して大幅にテンポロスして、相手に手札を与える以上のメリットが得られるわけがない(これは相手同士の妨害が発生することは除外している。単純にマナとカードの枚数だけの話)。

また後手での勝利に直結しないぶっぱは、返しの早い順番のプレイヤーのターンでの即死コンボを防ぎにくくなるし、重めのジェネラルをドレイクされたときにはテンポとアドのロスが大きすぎて目も当てられない。


ズアーやイドリスが弱いのはまさにここ。猪並みに突っ込むしかないので返しに死ぬ。でもデッキをコンボに寄せすぎると、分かっていても叩きつけるしかない。猪突猛進系ジェネラルなら、登場が1ターン早いセルヴァラやマーウィンの方が向いている。逆に言うと、ズアーやイドリスが差別化するには、やや長期戦を戦える構築が要求される。



閑話休題。


ケスは墓地にインスタント・ソーサリーがない段階で出すメリットは少なく(今は水没などに加えて激情の後見、偏向はたきなど増えたのでそうとも言い切れないが)、返しのドレイクも怖いので、こういう遅い出番でリスクの大きい行動を取りたくないときに、実はドローは最適解のひとつ。

最高に強いのは勿論、嘘か真か。

同じくインスタントの入念な考慮、マナを立てやすくケス登場後に使いやすい真実の視認と増やしていって、次に候補になるのは苦い真理だと思う。夜の囁きでも良いけど、3枚ドローはかなり使い勝手がいい。経験上、明らかに2枚ドローよりも強い感覚がある。その理論的背景(もどき)は、いずれ機会があれば。

また、土地33枚程度の構築では、普通にプレイしていると土地が3枚くらいで止まる+印鑑の展開となるが、1マナの妨害カードを構える前提でも3-4マナのスペルまでは使える見込みになる。

そのため、序盤に使いやすい点も兼ね備えた最大の成果が得られるのは3マナ3ドローの苦い真理では無いかと思う。まあ、体感としても苦い真理は強い。

EDHの手札補充という意味では、緑でよく使う調和くらいがマナコストと引ける枚数のバランスがよくて強いと思っている。緑のジェネラルはマナが大きく増えるので、青いデッキだと3マナ3ドローくらいが妥当なんだろうけど。


話は逸れたが。

ドローカードの使用は、着実に前進出来るというメリットがある。リスティックの研究は置いた返しにすぐ割られればテンポロスをするだけ、他の二人が相対的に得をするし、ボードに存在することで成果を上げるカードは、手に入れたアド、もしくは手に入るはずだったアドを全て失うリスクがある。

一見大したことない行動をしているうちに、盤面で相手同士でやり取りさせて消耗して貰うこと、自分が妨害の標的にならないことで確実にコンボに近づくことが利点。漁夫の利を狙うに当たって大事な土地を並べやすくなったり、軽量の妨害を引き当てるメリットもある。


ただ、あまりドローを入れすぎて手札に固まると攻めにも守りにも使えなくて身動きが取れなくなるので、ほどほどの採用に抑える必要があるが。

置物ドローも含めて、こんなくらいになっている。

概念泥棒
Mystic Remora
真実の視認
リスティックの研究
苦い真理
Wheel of Fortune
嘘か真か
入念な考慮
吸心

使い勝手の違うものもあるが、これくらい入れると3-4ターン目に何かしらが手札に回ってくる。もう少し少なくても良いと思う。気持ち少なめの方が手札でダブつくイラ立ちが減ると思うし、渦巻く知識や定業で掘る分もあるし。

ちなみに、知識の渇望は早いターンでは印鑑を捨てたくないし、強迫的な研究も早いターンでは土地を捨てたくない。青いのはとても大きなメリットで、手札に腐っても意思の力か否定の力のコストに貢献出来るんだが、ちょっと融通が利かないなあ。


という感じ。

ゆっくりドローする暇があるかは環境次第とも言えるが、そもそも誰もが妨害をせずにぶっぱデッキ×3みたいな卓ならば、中速のゲームでこそ力を発揮するケスは不向きなので、他のジェネラルを使った方がいい。中速ゲーム主体だと、3枚ドローは輝く。逆にもっとロングゲームを意識するなら3枚ドロー程度では物足りないかもしれないが。ケスの場合は裏表と一気に使うことで擬似的に高コストのドローのような振る舞いに出来るので、その点でも良いと思う。

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