EDH検証
2020年10月15日 Magic: The Gathering分割投稿しようかと思ったけど、あとから見にくいのでまとめた。
データというのは数字を並べることが目的ではなく、そこからどう利益を生むのかが大事。興味深い内容だね、で終わらず実戦で生かされることこそが有益なデータと考える。
EDHでのよく見るデータに、席順での勝率がある。まあ一番手の勝率が高い訳なんだが、このデータから導かれる我々の勝率を上げるための行動は、イカサマで先手を取る確率をあげるか、祈りを捧げることである。構築もプレイングも関係ない。
卓の順番による勝率は、興味深いデータかも知れないが、実戦では生かせない。
しかし例えば、
「最初に即死コンボを仕掛けた場合、n%で通る」
このデータはとても有効なものになる。厳密に言えば、自分の構築や卓の構成が大事になるので、
・自分は青か
・対戦相手に青は何人か
・何ターン目か
といった色んな条件付きだが、それでも重要な判断材料になる。
時間と労力があれば、黙々とデータを集めたいところだが、そもそも実際に検証可能かどうか、有効なデータが打ち出せるか予備研究を行ってからでないと、さすがに実戦からデータを取るには効率が悪い。
実はコロナ下で外出が自粛された際に、デッキ4つで一人回しをしていたときがある。その時に11戦分は、それなりに細かくデータを取っていたので、そこから少し解析してみた。
一人回しから取ったデータでは実戦とは解離があるんじゃない?と思われる方もいるだろうが、立ち回りの原則を設定して、なるべく一様な行動としたことで、体感での実戦との印象とそれほど解離はない。また、初心者が混じることによる露骨なプレイングミスもない(はず)。そのため、展開を真っ先に仕掛けるデッキが集中砲火を浴びて先に沈むだけ、トラティムが漁夫の利を取っていくだけという下らないデータにもならない。まあ、そもそも本チャンのデータではなく、あくまでパイロット研究だし…(実戦データを集めるとは言ってない)。
たかだか11戦の解析でも、個人的には有用なデータが取れたと思うし、今後実戦から取るにしても、どこを拾いたいかポイントを絞れるから、データフォームを作ってサクサク集める準備も出来ると言えば出来る。
個人ブログに体感と経験を並べても十分だが、ゲームの世界から一歩出ると、世の中の流れはちゃんとしたエビデンスに基づいたアプローチが主流になってきており、趣味の世界であっても本気で戦うなら根拠と検証は避けて通れない道
…なのか?
まあ、とりあえず粗末なデータだが現状の一人回し分を公開してみようかと思う。
一人で4つのデッキを操作することで、なるべく一貫した行動を取れるようにしデータを出してみることにした。
検証したいことは立ち回りによる勝率への影響。厳密にはゲームを決めうる要因というか、行動について考えたい。例えば1ターン目のマナ加速は勝率にどれほど影響するかとか、チューター→魔力の墓所は本当に正解なのかとか。
具体的にはこうする。
・4つのデッキを用意して全て自分で操作
・“ぶっぱ”、“構える”という2種類の立ち回りのデッキを二つずつ準備する
・ゲームの手番など平等になるように操作して複数のゲームを行い、色々検討する
一人でやると手札が透けて見えるのが難点だが、複数人で行うと非現実的な、立ち回りの一貫性やターンの順番による違いなどの介入を検証しにくいので、一長一短かと。理想的には行動に一貫がある複数人で、データを取るための一定の理念で行動を選択して貰うことを第三者が記録するだが、さすがに詰まらないゲーム?に人を巻き込むのは忍びないし、研究ではなくお遊びなので適当に。
立ち回りの原則としては、
ぶっぱ系
・コンボに一直線、コンボが揃い次第、公開情報の範囲で使ったら負けとならない限り使う
・妨害は誰かに頼む前提で、自分の前の手番の人がリーチをかけてもコンボへ
・コンボが出来ない場合や、メインの動きを阻害しない場合、詰んでる場合は妨害を行う
構える系
・相手のフルタップ、前の手番の人がコンボを使用して妨害のやり取りをする、相手の立っているマナに合わせて、自分がコンボ+カウンターを用意できるときに動く(決まりうるタイミングまで待つということ)
・公開情報でなければピッチカウンターは見えない前提でコンボ始動するが、自身にカウンターなど相手のコンボを凌ぐ手段があれば、決まりそうなぶっぱデッキが動くことを待つ(他人の妨害を使わせるまで待つ)
・適宜妨害を入れるが、もちろんギリギリまで待つ
ただし、優先権の駆け引きは今回は考慮しない。すなわち、自分より後に優先権を持つ人がフェッチランドなどの起動型能力を持つカードがあり、自分がカウンターを持っていながらパスをして下の手番の動向を探るということは、今回は無し。駆け引きは手札がわかる一人回しでは無意味なので。
検証したい項目としては、もちろん一番勝利したデッキと言いたいが、それだとデッキ自体の強さも影響してしまうので無意味。
個人的に興味があるのは
・一発目のぶっぱが通る確率とターン
・ゲームが決まったときに、何回目のコンボであるか(何回妨害で弾かれたか)
といった辺りの立ち回りを主体に、一人回しならではのデータを取りながらの運用にする。
例えばトラシオス&ティムナが一番勝った、強いね!という意味は全くないと思っていて、次の構築に生かされるような結果が欲しい。もちろん卓のデッキの系統の組み合わせによるし、一人回しでは限界があるので一つの参考所見だが。
少し前の海外のEDHのデータが出ていたが、データ量が膨大でとても参考になるものだが、結局そのデータからわかったことは
・トラシオス&ティムナが強い
・ハルクフラッシュが強い
・先行が勝つ
・だいたい5-6ターン目くらいに終わる
というころまでで、具体的な展開や立ち回りなど戦術的な面は不明瞭である。これを見て何か構築に影響する?残念ながら変わらない。
そのデータから実戦に繫げるとすると、
・トラシオス&ティムナを使う
・ハルクを使う
・5-6ターンでゲームが終わるのでそれより遅いデッキは論外
というところまでである。
EDHはものすごく早い環境である!といっても感覚的な話では説得力がない。例えば、
「即死コンボの一発目は8割のゲームで3ターン目に来るので、そこまでで誰かが妨害を準備する必要がある」
といった具体的な情報があれば、構築に影響するわけだ。
検証したゲーム数は11。すくなっ。
最初に言い訳させてもらうと、自粛期間中にちょくちょくデータを集めて、このペースなら100くらい行けるかなあ、とか思っていたのだが、思ったよりも早い段階からリアルカードで遊ぶようになったので、クソみたいな一人回しをしなくてもよくなったというね。いつか追加していこうかなっと。
まず、具体的なゲーム内容。
全てマーウィン vs トラティム vs ズアー vs ケス。
勝率はズアーのみ2勝で他は3勝ずつ。
まあ、均等である。
どこかに偏らせたプレイングではなさそうだ。
形式的なものとして、サクッと出るデータだけまず出すと
▲キルターンの中央値 5 ターン(四分位範囲4-6.5ターン)
▲手番による勝率
1番:36% 2番:27% 3番:27% 4番:9%
まあまあ沢山の実戦経験からしても遜色ない感じ。
サンプルサイズは小さいが、それなりに体感を反映したデータになりそうだ。
では、僕が知りたい項目について順番に示す
Q. 最初の即死コンボもしくは即死に準じる行動は何ターン目か
A. 中央値3 (3-3.75)
2ターン目:18% 3ターン目:55%
(ちなみに仕掛けられてないけどもっと早くから妨害を構えていることは結構ある)
Q. 即死コンボもしくは即死に準じる行動が妨害された回数
A. 中央値3 (2-4)
最低でも1回は妨害が入り、最高は11回。
Q. 最初に仕掛けた人が勝つ確率
A. 1ゲーム/11ゲーム ≒ 9%
Q. 魔力の墓所 or 太陽の指輪スタートできたデッキ(11game44デッキ中)
A. 7デッキ
Q. 上記デッキの勝率
A. 3/7 ≒ 43%
Q. 魔力の墓所, 太陽の指輪, チューター経由で2ターン目以内に左記を設置, 1ターン目にマナ加速(マナクリなど)のいずれも失敗したデッキ(11game44デッキ中)
A. 9デッキ
Q. 上記デッキの勝率
A. 0/9 = 0%
Q. コンボが決まった時に前の手番の人が仕掛けて妨害を使われていたか(漁夫の利)
A. 4ゲーム/11ゲーム ≒ 36%
以下、考察。
サンプルサイズが小さいし、そもそも一人回しという異様なデータの集め方だが、実戦での体感ともそれほどズレはない。
パイロット研究としては十分かな(さらにデータを集めるとは言っていない)。
青黒3人なので妨害が多くなって当然だが、今回のデータから言えることとしては
①最初の危険な行動は3ターン目以内に73%
②最初の“ぶっぱ”は勝てない(勝率9%)
③素引きの魔力の墓所 or 太陽の指輪スタートは手番以上に勝率が高い重要な選択
④1ターン目マナ加速なし、もしくはチューター経由の2ターン目魔力の墓所 or 太陽の指輪ができなければ、勝てない(勝率0%)
⑤1/3程度のゲームはコンボに対する妨害を受けた次の手番の人が勝っているので、いわゆる漁夫の利は頻発する(しかし自分の前の手番の人が動くまで待つのが良いかどうかは分からない。あくまで結果的に仕掛けた人の次の順番の人が勝っていただけ)
特に④が衝撃的。初動が2ターン目印鑑スタートは失敗行動であり、負け確である(ちなみに古の墳墓→印鑑は初動成功に分類しているのでアリ)。
つまり、今回のデータを参考にデッキを組もうとすると
①3ターン目以内になるべく妨害をうちたいし、逆に考えなしに仕掛けても妨害される
②何としても1マナクリかチューター経由で魔力の墓所、太陽の指輪
これは必須。
一応実戦では、最初のぶっぱで押し切れることもたまにあるのだが(つまり今回は青が多いとか、ゲーム数が少なくて反映されなかったのだが)、体感としても初動ぶっぱは中々勝てない。2ターン目にマーウィンを出してリーチくらいであれば、みんな余裕で妨害ができてしまう。1ターン目マーウィンですら勝てないこともあるのだから・・・
即死コンボ失敗は、次の手番の人に勝利をプレゼントするリスクが高く、実際に漁夫の利的にもらったゲームが36%もある。考え物だ。
しかし、ぶっぱデッキは完全に選択肢から無くなるのかというと、そうでもない。
そもそも最初に書いた通り、4つのデッキの勝率は同じくらい。つまり、ぶっぱデッキはコンセプトにのっとって、下手なことを考えずに突っ走れば、何ゲームかは拾うことが出来るし、受け身のデッキは受け身のデッキらしく安全に仕掛けることで勝率を維持できる。今回の検証結果のみをアテにしても、最初のぶっぱできるタイミングを見送ることが、勝率アップにつながるかどうかは未検証なのだから。
実際にはぶっぱデッキが2ついるせいで(マーウィン、ズアー)、片方は止まってももう片方が止まらないというケースがあるので、卓の組み合わせが大事。
ここからは想像になるが、早いターンに仕掛けても確実に妨害が来るが、皆でぶっぱすると誰かは通るので
・ぶっぱ系が少ない卓→なるべく仕掛けずに様子見
・ぶっぱ系が多い卓→積極的に突っ込む
という立ち回りがよさそうだ。まあ、コレは推測も入っているけど、実戦の体感的にもそう思う。
何というか想像通りの結果が来たが、データとしてある程度出ていると次の構築に生かしやすい。ただ、ぶっぱマンと受け身マンを均等に入れたことや青大杉のために勝率に差がつかず、何も結果が得られなかったとも言えなくはない。また強烈な自粛ムードがきたら、一人回ししてみようかと思うが、机の周りをクルクルしながら操作して、パソコン打ってと非常に面倒だからもうやりたくないのが本音。
もう一つ、気が進まない理由として、趣味の中までデータを持ち出して、データのない体感を切り捨ててしまうと、話が盛り上がらなくなってしまう懸念がある。「それ、データないよね。僕の持っていうデータだと・・・」で論破完了。最近、EDHが盛り上がっている中で水を差すのもよくないと思うし、まあ、データはほどほどに引き続き個人の経験で語ろうかなと。
最後におまけ。各デッキごとに雑感。
●ズアー、マーウィン
どちらも、2ターン目にジェネラルが出たからと言って、そのまま押し切れたわけではない。残念ながら最初に仕掛けてそのまま勝てる確率は9%という結果から分かる通り、妨害が入ってしまう。どちらかがつぶされた後に、漁夫の利的に勝ちをもらったものが多い。ピン除去で片方は除去できたけどもう片方は残った、みたいな。さすがに青黒3人なので妨害豊富なのはやむを得ないが、青が多い卓では最終的には交渉力が大事になるか・・・
ちなみにマーウィンは1ゲームだけ巣殴りで勝った。コンボそのものに対して妨害の応酬が入り、皆が消耗したところで茨のマンモスで制圧。
茨のマンモスは非常に盤面の支配力が高い。ジェネラルだけでなく緑のマナクリを継続的に倒すので対処できないと勝てない。やはり緑では重要な妨害カード。
●トラティム
ひたすらカウンターを打ちまくる係。ティムナで調子よくドローできると勝てる(多分3枚以上引いていると勝率50%くらい?)。
逆にリス研や他に使いたいものの関係で、ティムナでカードを引いていないゲームが36%あった。だからと言って、ティムナで引いていなくても勝つときは勝つが負けるときは負ける(この辺は詳細にデータとってない)。卓の組み合わせ的に、マーウィン、ズアーなどのターンを返すと死ぬジェネラルが多く、ティムナの生存率は100%でトラシオスの出番が極端に少なかった。殺される卓だと、トラシオスが生きるんだけどね。
●ケス
初動の遅さが何よりもキツイ。
ちなみにケスが勝った3ゲームのうち、2ゲームは沿岸崩壊を使用。マーウィンかズアーのどっちかを処理して、もう片方に殺されるパターンが多い中、リセットはやはり心強い。再序盤の出遅れさえ何とかなれば、ケスが登場してゲームが進むとアド差だけでなく、自分が仕掛けるときにコンボパーツの再利用やカウンター表裏で一気に押し切る力が強い。5-6ターン目くらいで輝くジェネラル。
おわり。
データというのは数字を並べることが目的ではなく、そこからどう利益を生むのかが大事。興味深い内容だね、で終わらず実戦で生かされることこそが有益なデータと考える。
EDHでのよく見るデータに、席順での勝率がある。まあ一番手の勝率が高い訳なんだが、このデータから導かれる我々の勝率を上げるための行動は、イカサマで先手を取る確率をあげるか、祈りを捧げることである。構築もプレイングも関係ない。
卓の順番による勝率は、興味深いデータかも知れないが、実戦では生かせない。
しかし例えば、
「最初に即死コンボを仕掛けた場合、n%で通る」
このデータはとても有効なものになる。厳密に言えば、自分の構築や卓の構成が大事になるので、
・自分は青か
・対戦相手に青は何人か
・何ターン目か
といった色んな条件付きだが、それでも重要な判断材料になる。
時間と労力があれば、黙々とデータを集めたいところだが、そもそも実際に検証可能かどうか、有効なデータが打ち出せるか予備研究を行ってからでないと、さすがに実戦からデータを取るには効率が悪い。
実はコロナ下で外出が自粛された際に、デッキ4つで一人回しをしていたときがある。その時に11戦分は、それなりに細かくデータを取っていたので、そこから少し解析してみた。
一人回しから取ったデータでは実戦とは解離があるんじゃない?と思われる方もいるだろうが、立ち回りの原則を設定して、なるべく一様な行動としたことで、体感での実戦との印象とそれほど解離はない。また、初心者が混じることによる露骨なプレイングミスもない(はず)。そのため、展開を真っ先に仕掛けるデッキが集中砲火を浴びて先に沈むだけ、トラティムが漁夫の利を取っていくだけという下らないデータにもならない。まあ、そもそも本チャンのデータではなく、あくまでパイロット研究だし…(実戦データを集めるとは言ってない)。
たかだか11戦の解析でも、個人的には有用なデータが取れたと思うし、今後実戦から取るにしても、どこを拾いたいかポイントを絞れるから、データフォームを作ってサクサク集める準備も出来ると言えば出来る。
個人ブログに体感と経験を並べても十分だが、ゲームの世界から一歩出ると、世の中の流れはちゃんとしたエビデンスに基づいたアプローチが主流になってきており、趣味の世界であっても本気で戦うなら根拠と検証は避けて通れない道
…なのか?
まあ、とりあえず粗末なデータだが現状の一人回し分を公開してみようかと思う。
一人で4つのデッキを操作することで、なるべく一貫した行動を取れるようにしデータを出してみることにした。
検証したいことは立ち回りによる勝率への影響。厳密にはゲームを決めうる要因というか、行動について考えたい。例えば1ターン目のマナ加速は勝率にどれほど影響するかとか、チューター→魔力の墓所は本当に正解なのかとか。
具体的にはこうする。
・4つのデッキを用意して全て自分で操作
・“ぶっぱ”、“構える”という2種類の立ち回りのデッキを二つずつ準備する
・ゲームの手番など平等になるように操作して複数のゲームを行い、色々検討する
一人でやると手札が透けて見えるのが難点だが、複数人で行うと非現実的な、立ち回りの一貫性やターンの順番による違いなどの介入を検証しにくいので、一長一短かと。理想的には行動に一貫がある複数人で、データを取るための一定の理念で行動を選択して貰うことを第三者が記録するだが、さすがに詰まらないゲーム?に人を巻き込むのは忍びないし、研究ではなくお遊びなので適当に。
立ち回りの原則としては、
ぶっぱ系
・コンボに一直線、コンボが揃い次第、公開情報の範囲で使ったら負けとならない限り使う
・妨害は誰かに頼む前提で、自分の前の手番の人がリーチをかけてもコンボへ
・コンボが出来ない場合や、メインの動きを阻害しない場合、詰んでる場合は妨害を行う
構える系
・相手のフルタップ、前の手番の人がコンボを使用して妨害のやり取りをする、相手の立っているマナに合わせて、自分がコンボ+カウンターを用意できるときに動く(決まりうるタイミングまで待つということ)
・公開情報でなければピッチカウンターは見えない前提でコンボ始動するが、自身にカウンターなど相手のコンボを凌ぐ手段があれば、決まりそうなぶっぱデッキが動くことを待つ(他人の妨害を使わせるまで待つ)
・適宜妨害を入れるが、もちろんギリギリまで待つ
ただし、優先権の駆け引きは今回は考慮しない。すなわち、自分より後に優先権を持つ人がフェッチランドなどの起動型能力を持つカードがあり、自分がカウンターを持っていながらパスをして下の手番の動向を探るということは、今回は無し。駆け引きは手札がわかる一人回しでは無意味なので。
検証したい項目としては、もちろん一番勝利したデッキと言いたいが、それだとデッキ自体の強さも影響してしまうので無意味。
個人的に興味があるのは
・一発目のぶっぱが通る確率とターン
・ゲームが決まったときに、何回目のコンボであるか(何回妨害で弾かれたか)
といった辺りの立ち回りを主体に、一人回しならではのデータを取りながらの運用にする。
例えばトラシオス&ティムナが一番勝った、強いね!という意味は全くないと思っていて、次の構築に生かされるような結果が欲しい。もちろん卓のデッキの系統の組み合わせによるし、一人回しでは限界があるので一つの参考所見だが。
少し前の海外のEDHのデータが出ていたが、データ量が膨大でとても参考になるものだが、結局そのデータからわかったことは
・トラシオス&ティムナが強い
・ハルクフラッシュが強い
・先行が勝つ
・だいたい5-6ターン目くらいに終わる
というころまでで、具体的な展開や立ち回りなど戦術的な面は不明瞭である。これを見て何か構築に影響する?残念ながら変わらない。
そのデータから実戦に繫げるとすると、
・トラシオス&ティムナを使う
・ハルクを使う
・5-6ターンでゲームが終わるのでそれより遅いデッキは論外
というところまでである。
EDHはものすごく早い環境である!といっても感覚的な話では説得力がない。例えば、
「即死コンボの一発目は8割のゲームで3ターン目に来るので、そこまでで誰かが妨害を準備する必要がある」
といった具体的な情報があれば、構築に影響するわけだ。
検証したゲーム数は11。すくなっ。
最初に言い訳させてもらうと、自粛期間中にちょくちょくデータを集めて、このペースなら100くらい行けるかなあ、とか思っていたのだが、思ったよりも早い段階からリアルカードで遊ぶようになったので、クソみたいな一人回しをしなくてもよくなったというね。いつか追加していこうかなっと。
まず、具体的なゲーム内容。
全てマーウィン vs トラティム vs ズアー vs ケス。
勝率はズアーのみ2勝で他は3勝ずつ。
まあ、均等である。
どこかに偏らせたプレイングではなさそうだ。
形式的なものとして、サクッと出るデータだけまず出すと
▲キルターンの中央値 5 ターン(四分位範囲4-6.5ターン)
▲手番による勝率
1番:36% 2番:27% 3番:27% 4番:9%
まあまあ沢山の実戦経験からしても遜色ない感じ。
サンプルサイズは小さいが、それなりに体感を反映したデータになりそうだ。
では、僕が知りたい項目について順番に示す
Q. 最初の即死コンボもしくは即死に準じる行動は何ターン目か
A. 中央値3 (3-3.75)
2ターン目:18% 3ターン目:55%
(ちなみに仕掛けられてないけどもっと早くから妨害を構えていることは結構ある)
Q. 即死コンボもしくは即死に準じる行動が妨害された回数
A. 中央値3 (2-4)
最低でも1回は妨害が入り、最高は11回。
Q. 最初に仕掛けた人が勝つ確率
A. 1ゲーム/11ゲーム ≒ 9%
Q. 魔力の墓所 or 太陽の指輪スタートできたデッキ(11game44デッキ中)
A. 7デッキ
Q. 上記デッキの勝率
A. 3/7 ≒ 43%
Q. 魔力の墓所, 太陽の指輪, チューター経由で2ターン目以内に左記を設置, 1ターン目にマナ加速(マナクリなど)のいずれも失敗したデッキ(11game44デッキ中)
A. 9デッキ
Q. 上記デッキの勝率
A. 0/9 = 0%
Q. コンボが決まった時に前の手番の人が仕掛けて妨害を使われていたか(漁夫の利)
A. 4ゲーム/11ゲーム ≒ 36%
以下、考察。
サンプルサイズが小さいし、そもそも一人回しという異様なデータの集め方だが、実戦での体感ともそれほどズレはない。
パイロット研究としては十分かな(さらにデータを集めるとは言っていない)。
青黒3人なので妨害が多くなって当然だが、今回のデータから言えることとしては
①最初の危険な行動は3ターン目以内に73%
②最初の“ぶっぱ”は勝てない(勝率9%)
③素引きの魔力の墓所 or 太陽の指輪スタートは手番以上に勝率が高い重要な選択
④1ターン目マナ加速なし、もしくはチューター経由の2ターン目魔力の墓所 or 太陽の指輪ができなければ、勝てない(勝率0%)
⑤1/3程度のゲームはコンボに対する妨害を受けた次の手番の人が勝っているので、いわゆる漁夫の利は頻発する(しかし自分の前の手番の人が動くまで待つのが良いかどうかは分からない。あくまで結果的に仕掛けた人の次の順番の人が勝っていただけ)
特に④が衝撃的。初動が2ターン目印鑑スタートは失敗行動であり、負け確である(ちなみに古の墳墓→印鑑は初動成功に分類しているのでアリ)。
つまり、今回のデータを参考にデッキを組もうとすると
①3ターン目以内になるべく妨害をうちたいし、逆に考えなしに仕掛けても妨害される
②何としても1マナクリかチューター経由で魔力の墓所、太陽の指輪
これは必須。
一応実戦では、最初のぶっぱで押し切れることもたまにあるのだが(つまり今回は青が多いとか、ゲーム数が少なくて反映されなかったのだが)、体感としても初動ぶっぱは中々勝てない。2ターン目にマーウィンを出してリーチくらいであれば、みんな余裕で妨害ができてしまう。1ターン目マーウィンですら勝てないこともあるのだから・・・
即死コンボ失敗は、次の手番の人に勝利をプレゼントするリスクが高く、実際に漁夫の利的にもらったゲームが36%もある。考え物だ。
しかし、ぶっぱデッキは完全に選択肢から無くなるのかというと、そうでもない。
そもそも最初に書いた通り、4つのデッキの勝率は同じくらい。つまり、ぶっぱデッキはコンセプトにのっとって、下手なことを考えずに突っ走れば、何ゲームかは拾うことが出来るし、受け身のデッキは受け身のデッキらしく安全に仕掛けることで勝率を維持できる。今回の検証結果のみをアテにしても、最初のぶっぱできるタイミングを見送ることが、勝率アップにつながるかどうかは未検証なのだから。
実際にはぶっぱデッキが2ついるせいで(マーウィン、ズアー)、片方は止まってももう片方が止まらないというケースがあるので、卓の組み合わせが大事。
ここからは想像になるが、早いターンに仕掛けても確実に妨害が来るが、皆でぶっぱすると誰かは通るので
・ぶっぱ系が少ない卓→なるべく仕掛けずに様子見
・ぶっぱ系が多い卓→積極的に突っ込む
という立ち回りがよさそうだ。まあ、コレは推測も入っているけど、実戦の体感的にもそう思う。
何というか想像通りの結果が来たが、データとしてある程度出ていると次の構築に生かしやすい。ただ、ぶっぱマンと受け身マンを均等に入れたことや青大杉のために勝率に差がつかず、何も結果が得られなかったとも言えなくはない。また強烈な自粛ムードがきたら、一人回ししてみようかと思うが、机の周りをクルクルしながら操作して、パソコン打ってと非常に面倒だからもうやりたくないのが本音。
もう一つ、気が進まない理由として、趣味の中までデータを持ち出して、データのない体感を切り捨ててしまうと、話が盛り上がらなくなってしまう懸念がある。「それ、データないよね。僕の持っていうデータだと・・・」で論破完了。最近、EDHが盛り上がっている中で水を差すのもよくないと思うし、まあ、データはほどほどに引き続き個人の経験で語ろうかなと。
最後におまけ。各デッキごとに雑感。
●ズアー、マーウィン
どちらも、2ターン目にジェネラルが出たからと言って、そのまま押し切れたわけではない。残念ながら最初に仕掛けてそのまま勝てる確率は9%という結果から分かる通り、妨害が入ってしまう。どちらかがつぶされた後に、漁夫の利的に勝ちをもらったものが多い。ピン除去で片方は除去できたけどもう片方は残った、みたいな。さすがに青黒3人なので妨害豊富なのはやむを得ないが、青が多い卓では最終的には交渉力が大事になるか・・・
ちなみにマーウィンは1ゲームだけ巣殴りで勝った。コンボそのものに対して妨害の応酬が入り、皆が消耗したところで茨のマンモスで制圧。
茨のマンモスは非常に盤面の支配力が高い。ジェネラルだけでなく緑のマナクリを継続的に倒すので対処できないと勝てない。やはり緑では重要な妨害カード。
●トラティム
ひたすらカウンターを打ちまくる係。ティムナで調子よくドローできると勝てる(多分3枚以上引いていると勝率50%くらい?)。
逆にリス研や他に使いたいものの関係で、ティムナでカードを引いていないゲームが36%あった。だからと言って、ティムナで引いていなくても勝つときは勝つが負けるときは負ける(この辺は詳細にデータとってない)。卓の組み合わせ的に、マーウィン、ズアーなどのターンを返すと死ぬジェネラルが多く、ティムナの生存率は100%でトラシオスの出番が極端に少なかった。殺される卓だと、トラシオスが生きるんだけどね。
●ケス
初動の遅さが何よりもキツイ。
ちなみにケスが勝った3ゲームのうち、2ゲームは沿岸崩壊を使用。マーウィンかズアーのどっちかを処理して、もう片方に殺されるパターンが多い中、リセットはやはり心強い。再序盤の出遅れさえ何とかなれば、ケスが登場してゲームが進むとアド差だけでなく、自分が仕掛けるときにコンボパーツの再利用やカウンター表裏で一気に押し切る力が強い。5-6ターン目くらいで輝くジェネラル。
おわり。
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