最初に要旨だけ書くと

①漁夫の利を狙うコンセプトの追求
②3ターン目にティムナを出すプラン
③ティムナと相性の良い生物のカット
④デッキリスト

こんな辺り。前半は今まで書いたようなことの焼き直し、③は多分書いたこと無い。



①漁夫の利を狙うコンセプトの追求

絶妙なジェネラルの弱さと立ち回りで相対的なアドを取るデッキ。世界の的になる行動はコンボを行う最後の瞬間だけで十分で、カードの採用基準はカードパワーでは無く、小回りが効くことやオープンリーチをしないこと。トラシオスもティムナも、あるタイミングから急激に展開して一気にリソースを増やして押し切ることは出来ないので、雑にカードを叩きつけるデッキと違って、待ちのプレイング、こっそりと自分の場を整えるプレイングが優先されるし、それを行えるカード選択が大事。カード個別で見ても仕方ないのはこのデッキに限ったことでは無いが、ジェネラル固有のコンボやマイナーカードはないものの、立ち回りについては他では真似できない特有の動きであり、ちゃんとジェネラルにあった専用の構築となっている。

・ギトラグの怪物 & ダクムーアの回収場
・無限のエルシャ & Thought Lash

こういうわかりやすい特殊性はない。そのため個別のカード解説は無意味で(そもそも、よく見るカードの集合体でしか無い)、デッキの明確なコンセプトとそれに合致するかどうかの吟味が、解説には必要。

例えば自然の知識。

良くある100枚解説風に言えば「タッサの神託者やジェイスに必要な青マナを増やすマナ加速」とか「安定の土地加速」とか単なる感想文で終わりかねないわけだが、それだけでは2ターン目ティムナを捨てる理由にはなっていない。勿論ゲームプラン上、必要と思っているから採用しているわけで。

例えば、土地34枚と、EDHではやたらと多い枚数があり、しかも機能的な土地で誤魔化しているわけでは無く純粋にマナが出る土地が多い。これも個別に感想をつけても意味が無いこと。

そこで序盤の展開についてまず話をする。

このデッキの基本的な戦い方は、

1ターン目 マナクリ
2ターン目 ティムナ
後は構えながらカードを引いていく

となるが、このプランの弱点はティムナを対処されること。

既に過去にも触れているが、トラシオス&ティムナの「弱いという強み」は知れ渡り、結果的にゲーム中に一番カードを引いて勝つという展開は誰もが実感していること。ティムナはネクロポーテンスを持ってこられるズアーよりも、安定してカードを引いている。危険すぎる行動は必ず対処されるが、相対的に弱い行動は自分に妨害が向かない。その時点で

・ズアーは除去されてテンポロス
・除去したプレイヤーは手札-1(と若干のテンポロス)
・他の人は ±0

と、相対的にアドを取り、ガラ空きとなったズアーを殴ることで自分は単にカードを一枚引いているだけでは無く、相対的なカードアドバンテージ+2とテンポを得ていることになる。

話は逸れるが、僕は金粉のドレイク推進派なのだが、一つには妨害を打つことは損な行動なので少しでも利益が出るようにと、トップクラスの性能のティムナに対して相手もガラ空きにしないことが大事だと思っている。

とはいえ、逆にティムナを叩かれると、こちらとしては困ったことになる。隙を見て一回でも攻撃できればアドバンテージを全部取り返せるズアーと違って、ティムナは何回も殴らないといけない(ちなみに対処された後には、そんなことはしないんだが)。崩されると厳しいのである。除去されなくても相手が全員ティムナ以上のブロッカーを並べてもアウトである。この場合、対戦相手は普通に展開しているだけでアドもテンポも失っていないが、自分は序盤の大事な局面で無駄に3マナ浪費しただけである。厳しい。

実はこれを取り返しために

・悪魔の意図、異界の進化、召喚の調べのような頭数が必要なものを“そこそこ”採用
・花を手入れする者、フェイ庄の古老など色参照
・もちろん激情の後見、致命的なはしゃぎ回り

と言ったティムナが棒立ちにならない手段を織り交ぜている。



②3ターン目にティムナを出すプラン

ティムナが棒立ちしないようにと色々と考えてみると、ティムナを2ターン目に出しても、結局3ターン目からしかカードは引けないのならば、2ターン目は展開に使って(殴れる生物を出して)、隙あらば3ターン目にティムナキャストからアタック、無理そうなら別のプランにすればいいんじゃないかと。

このコンセプトの利点はティムナでカードを引き始めるタイミングは変わらないのだが、

・ティムナの登場を遅らせることで1ターン余分に様子をみられる(ティムナの無駄キャストがなくなり早期にトラシオスプランに移行の選択が取れる)
・チューター経由でタッサの神託者+デモコンという4-6マナくらいかかる動きを早く起こせる
・土地加速をおりまぜれば、毒の濁流などの被害を少なく出来る(特にぶっぱ系ジェネラルは2ターン目に出揃っちゃうので、2-3ターン目はリセットを受けやすい)

というメリットがある。

具体的にはこうなる。

1ターン目 マナクリ
2ターン目 三顧の礼→トラシオス
3ターン目 殴れるならティムナ
無理ならトラシオスを構えたり、他の展開


1ターン目 マナクリ
2ターン目 フェッチ→改革派の結集者
3ターン目 …


1ターン目 マナクリ
2ターン目 水蓮のコブラ→トラシオス
3ターン目 …


1ターン目 マナクリ
2ターン目 フェイ床の古老
3ターン目 ティムナや現実からの遊離etc


こんな感じである。

さらに、今まで持て余していた1ターン目太陽の指輪や魔力の墓所の無色マナも有効に使える。例えば

1ターン目 太陽の指輪
2ターン目 自然の知識→ティムナ

1ターン目 魔力の墓所→自然の知識+マナクリ
2ターン目 トラシオス&ティムナ


そして、もう一つ、ここまでで大事なことは、必ず土地を置き続けること。普通にドローステップのカードだけで3ターン目くらいまでは確実に土地を置く必要がある。何ならその後もひたすらトラシオス(とカウンター)を構え続けてエンドする展開があり、その時にも土地を置き続けてトラシオスの能力を効率よく使いたいし、4マナピッタリしか構えられなくてカウンターを使ったらトラシオスを使えないという状況よりも両方ともしっかりと使えるマナが欲しい。

このデッキは、いわば漁夫の利を狙うデッキであり、コンボが揃っても場合によってはすぐに使わず、タイミングを伺ってひたすら土地を並べてカードを引いていくのである。そのために、土地はどうしても沢山必要。平均的なEDHのゲームエンドの5-6ターンまでは土地を置き続けたい。そして何よりも土地を並べることは、ヘイトが上がらない。

そんなに土地にスロットを割けるの?という疑問もあると思うが、魔力の墓所、吸血の教示者、タッサの神託者などのデッキの核となるパワーカードだけでは100枚を埋めることは出来ず、どうしても少しずつ弱いカードで枚数を稼がないといけないのがEDHのデッキ。そのため活躍するか分からない、手札で腐るリスクが高い微妙なカードを使うくらいなら土地にする。



③ティムナと相性の良い生物のカット

ここからは多分書いたことの無い内容。

ティムナが殴れなくなって棒立ちになったとしても、回避能力を持った役割のある生物を使ってカードを引いていくというのが有効だと思っていた。でも、それは結局、卓内での脅威度を上げるので的になりやすく、ティムナへの依存度を上げるので分かりやすい弱点が出来るため除去を誘発させやすい。

例えば忠実なドレイク。

出してすぐの戦闘フェイズから引けるので、即効性のあるファイレクシアの闘技場でありつつ、ティムナがいれば次のターンからは殴って引けるので毎ターン2枚ずつという驚異的なドローソースになる。


しかし、目立つ。


「戦闘フェイズ。誘発して1ドロー」

「アタック、第二メインで1点払って1ドロー」

というアクションは、登場したターンに1枚、次のターンに2枚と結果的にカードを3枚しか引いていないのだが、とても派手でめちゃくちゃ強そうな動きに見えるので必ず対処される。何なら、キャストしたターンの戦闘誘発から、脅威を悟られ処理される。

これは、このデッキの目指すゲームプランとは異なる展開。的になりたくないって、最初に言ったやん。

・忠実なドレイクで戦闘後に1ドローして処理される
・苦い真理でこっそり3ドロー

どちらが良いかと言えば後者。

不思議なことに、明らかに忠実なドレイクの方が危険物と認識される。というか、苦い真理は危険な行動と思われない。忠実なドレイクが苦い真理のドローを上回るには、

・ティムナが戦場
・忠実なドレイクが二回アタック

という、とても厳しい条件を満たさないといけないので、大抵は無理なのに…

当たり前なのだが、ティムナでカードを引いていくのは、歴代の優秀なドローよりも基本的にはドロー効率は悪いし、即効性がない。何より目立つ。

あくまでティムナは、絶対に必要なクリーチャー達のオマケでカードが引けるくらいのポジションにしたい。ズアーアタック→ネクロポーテンスが、生物の攻撃でカードを引くには最強の動きなのである。なぜガチデッキを組むに当たって、この行動を選択しなかったのかという初心に戻った。

ちなみに苦い真理は使ってみるとかなり強い。まあ、他のデッキでもよく使って実感していたから、強さについては折り紙付きだったんだが、ドロー能力を持ったトラシオス&ティムナで使っても強い。4マナ以上はトラシオスの起動を阻害するし、軽いドローはマナに比して効果が小さい。苦い真理は本当に絶妙なところをついた強カード。


殴る生物については、基本的にはマナクリかコンボパーツ生物が中心となるが、いくつか妨害生物も足すことにした。これはゲームスピードが滅茶苦茶早いぶっぱ系ジェネラル複数に囲まれたときに、分の悪い高速コンボ合戦を挑むよりも、妨害を差し込んで少し時間を稼ぎたいからである。ヘイトベアーは沢山いても、それこそこのデッキ自体のヘイトもMAXになるし、あくまで漁夫の利を狙ってタッサの神託者を押し通すコンセプトからは外れる寄り道なので最低限にした。妨害の薄いぶっぱ勢に対しては運良くこちらの高速コンボが決まるという勝ち筋もあるわけだし。ちなみに現状で採用されているのは、

・ドラニスの判事
(金粉のドレイク)
・エイヴンの思考検閲者
・概念泥棒

この3枚。

ドラニスの判事は相手のぶっぱ全振りキープを打ち砕く最強の妨害。2マナはチューター経由の選択肢としても十分で、しばらく軽量妨害生物の座として安定しそう。

ちなみに金粉のドレイクは相手に渡るのでティムナのアタックに対して貢献するかと言われると微妙なのだが(強いジェネラルを貰えばいいが)、ドラニスの判事でうち漏らしたジェネラルを取る手段として大事。

ドラニスの判事のおかげで、今までは「ドレイクでどっちかのジェネラルしか対処できない…」というジレンマも、手番や相手の重さ次第では、ドラニスの判事で両成敗でき、統率者軸デッキの出鼻を挫くプランは格段に強くなった。

エイヴンの思考検閲者と概念泥棒は、相手に対処カードを引かれるまでの時間を先延ばしするので、他の妨害生物よりも生存率が高く、意外と除去が飛んでこなかったりする点が良い。もちろん、いずれもソリティアし始めるデッキには良く刺さるカードであり、脳筋に囲まれたときの複数の相手への時間稼ぎとして最適。

繰り返しになるが、相手への影響が大きいため、例えばエイヴンの思考検閲者にカウンターを合わせられるなど、卓の妨害を無駄に消費することに成りかねないのがネック。少なくともカウンターも持っているなら、自分の次の手番の人のフェッチ起動にあわせて使う欲はみせず、無難に自分の直前の手番の人のエンド時や大きなアクションに対応して使う。枚数を増やすと、妨害のやり取りを誘発する頻度が増えてしまうので、まあこれくらいかなと

概念泥棒はタフネスが低すぎて殴れないしブロッカーにもなれなくて中途半端、多くは隙を見てキャストする抑止力でしかないので、頼れるボディの托鉢する者に変えても良いかもしれない。こまめに1ドロー出来る勢は抑えられなくなるけど。


④デッキリスト

トラシオス&ティムナ

極楽鳥
死儀礼のシャーマン
深き闇のエルフ
アヴァシンの巡礼者
ラノワールのエルフ
エルフの神秘家
Fyndhorn Elves
東屋のエルフ
貴族の教主
水蓮のコブラ
花を手入れする者
金粉のドレイク
瞬唱の魔道士
幻影の像
タッサの神託者
ドラニスの判事
呪文探求者
厚かましい借り手
エイヴンの思考検閲者
改革派の結集者
フェイ庄の古老
ファイレクシアの変形者
概念泥棒

神秘の教示者
吸血の教示者
伝国の玉爾
俗世の教示者
悪魔の教示者
悪魔の意図
エラダムリーの呼び声
異界の進化
破滅の終焉
召喚の調べ
戦争門

Mystic Remora
リスティックの研究
苦い真理

否定の契約
狼狽の嵐
白鳥の歌
秘技の否定
遅延
マナ吸収
激情の後見
否定の力
意思の力

沈黙
蒸気の連鎖
有毒の蘇生
自然の要求
サイクロンの裂け目
致命的なはしゃぎ回り

Demonic Consultation
汚れた契約
セヴィンの再利用
現実からの遊離
神秘を操る者、ジェイス

自然の知識
三顧の礼
魔力の墓所
金属モックス
モックス・ダイアモンド
太陽の指輪
秘儀の印鑑

土地34
デュアラン 6
ショック 6
フェッチ10
雲海
変遷の泉
豪勢な大通り
アダーカー荒原
ラノワールの荒原
色あせた城塞
真鍮の都
風変わりな果樹園
統率の塔
マナの合流点
宝石の洞窟
ガイアの揺籃の地


最後に追加で個別にコメント。


★厚かましい借り手

生物サーチで引けるバウンス、使った後も殴れるアタッカーとして無駄がなさそうに見えるが、そもそも3マナのバニラをキャストすることは余程暇じゃないとなくて、ただのバウンスでしかない。しかも生物サーチで持ってきたことは一度もない。

マナが余ったときの使い道を気にするなら、乱動への突入とかの方がよっぽど使いやすいかもしれないが、乱動への突入もどうせキッカーしないので、このままとなっている。


★改革派の結集者

重くて動きにくい直観1枚コンボを抜いたので、直観と組み合わせることで2枚コンボになる勢は価値が下がった。ヴリンの神童ジェイスは抜いた。改革派の結集者も2マナの加速手段に変えても良いかも知れないが、なぜかあんまり引かないので特に不都合も無く感じて、そのままに。2ターン目にランパンしつつ登場して、次のターンアタックしてティムナに貢献はウッドエルフやヤヴィマヤのドライアドの近いものがあるが、サイズが大きいこと、後半マナ加速では無くてコンボパーツ(タッサの神託者)の使い回しが出来る点で、腐りにくくて良いカードだと思うんだが。


★現実からの遊離

サブコンボとしては色々検討しても、これが残っている。そんなに強そうに見えないのだが、倦怠の宝珠というタッサの神託者の天敵を回避し、比較的メジャーな妨害の墓地対策に引っかからないからかなあ?ピン除去はあたるんだけどね。後付けの理由は色々つけられるが、結局こいつが一番使いやすい理由はよく分からん。でも実際にタッサの神託者が動けないときの勝ち筋として需要はあるし、この枠は何らかのコンボパーツとして残り続けるんだが。


★神秘を操る者、ジェイス

ほとんど使わない。現実からの遊離よりも使わないかもしれない。サーチするならタッサの神託者だし、シンボルのキツさがネックで使いたくても使えない状況も結構ある。

特に、緑しか出ないマナクリからティムナに繫げるために、savannah、underground seaと繫いでしまうと最悪で、ジェイスデモコンのUUUBが全然出せない。

白緑の土地が弱いんだよね。

bayou、tundraと繫ぐのが理想。

だからダメランは青白と黒緑を使用している。片方のダメランを引いたときにフェッチからデュアルで、黒/緑、青/白と二色土地を並べたいので。

タッサの神託者もそうだが、特にジェイスにとっては豪勢な大通りは邪魔なので、他のペインランドに変えても良いかも。


デッキとしては、かなり良い感じになって、何よりも自分好みで使いやすい。あとはメタにあわせたマイナーチェンジくらいだし、一旦これで完成としたい。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索