EDHヴィリスを使いたい
2020年11月10日 Magic: The Gathering環境によるといえばそれまでだが、少なくとも自分のコミュニティでは妨害手段は充実しており、早い段階でコンボをたたきつけることが正義ではない。妨害される。
特に初動にall inのデッキは、デッキ全体が弱いシナジー重視のカードで形成され、キーカードやジェネラルを処理されることで多くがゴミになり、リカバリー不能となる。毎ターン土地を置けるわけでもなく、土地を置いたり置かなかったり。大した行動もせずにエンドを繰り返しているうちに、他のプレイヤーはマナも手札も充実させて(カウンターも握られているので)逆転の目が無くなる。これはEDHでの主な負け筋。昔と違ってスピードだけで押し切れることはなくなったので、高速コンボには付加価値が必要。
早くて安定!というのはデッキ構築をしている側からするとメリットに見えるが、対戦相手側からすると誰か一人が早いコンボを仕掛けるのは想定内で、安定しているかどうかは関係がないというのがポイント。
突撃→はじかれる→その後棒立ちというのは、マーウィンやズアーで散々経験した。
ゲームのシステム上、統率者を軸にデッキを組みたくなるけれども、統率者を中心に据えるほど固有カード(=統率者が処理されたときにゴミカード)が増えるし、弱点もわかりやすく対処されやすい。何よりもターンエンドして一周回って生存が前提というのは、妨害がたくさん飛んでくる多人数戦で期待する行為ではないと思う。
コンボの妨害耐性を上げるというのは一つの手。ジェネラルを起点にしている限り、それは成し得ないのでジェネラル以外の要素でコンボを組んで、ジェネラルがサポートする形は理想。例えばゴロスで母聖樹を持ってきて深淵への覗き込み。これはゴロスに詳しくない人はゴロスがマスカンであることに気づかないので(ハルクフラッシュ時代は最悪除去でも良かったので)、初見殺しという意味でも強い一手。
コンボ+カウンターを揃えるでも良い。つまり実質的に3枚コンボ、4枚コンボとして盤石にする。そのためにはカードを引く系のジェネラルも良い。ジェネラルを起点にしないと、どうしてもコンボ成立までのターン数は遅くなる(理論上の最速キルターンではなく、コンボが成立する平均速度が遅くなる)ので、中~長期戦になった時に戦えるように、カードアドバンテージ源が欲しい。そこに微妙な強さのジェネラルを採用することで、なるべく安定して引き続けるのが狙い。これがトラシオス&ティムナ。
インスタントウィンというのも重要な手。相手の隙をついてアクションを起こすことの有用性はハルクフラッシュが散々環境を荒らしたので周知となっているだろう。軽ければなお害悪。むかつきも重さを許容できれば、1枚で機能するので勝ちやすいカード。昔はむかつきに特化した初見殺しデッキもあったが、今ではカウンターを受ける可能性が高いのでむかつき特化は難しい。しかし相手のエンド時にカウンター合戦が発生しても自分のメインはガラ空きになるので、続く一手を用意できるデッキならば、実質的に妨害耐性が高いことになる。
では、それ以外に勝つ方法はないのだろうか。
僕は緑の大量ドローというのは、実は重要な勝ち手段だと思う。
例えば威厳の魔力で10枚引くと言われればマナ吸収や秘儀の否定を当てたくなる。生物をリセットしたくなる。でもリシュカーの巧技で5枚引くと言われたら?手札にある1枚しかない貴重なカウンターを使いますか?
これは多くの場合で見逃される。即死しないなら・・・と。しかし一度ここで大量のアドを稼ぐと、次の一手が妨害されても手詰まりにはならないし、何なら引いたカードでマナ加速、更なるドローを使い、もはや妨害を受け付けないほどの盤石な場になれる。場合によってはチェインコンボになって即死する。最初からチェインを狙うデッキと違って、この手の大量ドローは単品で仕事をするカードであり、ガイアの揺籃の地でのマナ回復も単品で仕事をするカードの集合体。そのため、チェインコンボに失敗しても、ちゃんと次の手があるし、仕掛ける際も気軽に仕掛けられる。似たようなドローは沢山あるので攻め筋も多い。
カードを引くという意味では
・トラシオス&ティムナでひっそりと引く
・隙を見てむかつきで沢山
・緑の大量ドローで5枚くらい引く
このどれも立ち回り上、有効であると思う。ただし緑のドローについては、ジェネラルの選択肢がゼガーナかティシャーナしかないし、威厳の魔力にしてもリシュカーの巧技にしても重くて他のカードとの組み合わせが大事なので、初手のキープハンドが少なくなりがちになることがつらい。
軽くて5枚くらい引ける方法はないのかと。軽ければ相手の隙をついて動けるし、自分の他のカードでも守りやすい。上振れで1-2ターン目に仕掛けることができれば妨害もされない。仮に2枚コンボになったとしても、即死させる必要はない。タッサの神託者より軽くてそろいやすければ良いのだ。
そこで、自分が着目したのがヴィリス。
納墓+再活性は1-2ターン目に仕掛けることが現実的だし、チューター経由でも2ターン目に仕掛けられる。暗黒の儀式など黒のマナ加速を余すことなく使えるのも追い風。仮に3ターン目くらいに仕掛けるとしても、マナが残せるのでカウンターや夏の帳で守ることもできる。
ほうほう。組み合わせで大量ドローを狙う緑に似たコンセプト。ライフを犠牲にする代わりに、軽いチューターと軽いマナで同じように大量ドローを狙えるわけだ。
2枚コンボなのに即死しないのでタッサの神託者の劣化になることが懸念されるが、若干軽くて速いメリットがあるし、少し重いカードまで視野に入れると、埋める側もライフを減らしながら釣る側も代替カードが多いので、「コンボがそろわない!」ということはないだろう。また低い確率ながらフルタップでヴィリスが出た瞬間の8枚ドローでマナアーティファクトなど工面してチェインコンボ風に動いてゲームを決めることができる。マナ基盤を増やし次の一手をいくつも打てるようになれば、ターンを返してヴィリスを処理されても問題なくなる。もちろん、ある程度マナがある状態でヴィリスを釣ることが出来ればゲームエンドになるのは、緑のデッキがリシュカーの巧技からチェインコンボを決めて終わらせるのと同じである。
このヴィリスを中心に据えるに当たって、他のデッキでは採用しがたいチェインに必要なカードとして、つまりは単体のカードパワーや活躍度を優先するトラシオス&ティムナに入らない専用カードと言える存在には、例えばこんなところが挙げられる。
スカージの使い魔
ファイレクシアの発掘者
アスフォデルの灰色商人
ヨーグモスの息子、ケリク
納墓
霊廟の秘密
ジャラドの命令
最後の別れ
霊気貯蔵器
殺し
再活性
生+死
暗黒の儀式
Sacrifice
弱者選別
忌むべき者の歌
陰謀団の儀式
もちろん、墓破りのラミアとか入れても良さそうなカードは他に有るが、大まかな話。
ヴィリスが場に出た後に、マナを復帰する手段がなければ、そのターン中に勝てない。その役割は、0マナアーティファクトだけでは足りないので、ケリクやスカージの使い魔、儀式系へのアクセスが必要。スカージの使い魔やケリクが居ないと、ライフを払うためにマナを使う余裕は少ないので、殺しのような0マナでライフを払えるカードは貴重。
さて、ここで一つ矛盾が有る。
統率者軸にして、統率者がいないと活躍できないカードを使うことでデッキに明確な弱点が出来ると言っておきながら、結局ヴィリスを軸にヴィリスに依存したカード選択がないと、満足に動けないというところ。しかし、ここには明確な違いがあると思っていて、統率者は公開情報、ヴィリスは非公開情報であること。
ズアーが見えれば誰もが対処を意識して行動する。初手のチューターはドレイクにしちゃおうかな、なんて。
しかし、例えばジラ・エリアンを見せられたときには特に対処を意識しない。そこから、誰かのコンボのやり取りを見た後に、奇襲で納墓+再活性からヴィリスが登場することで、ガッツリアドを稼いで勝利に近づける。
最初に述べなかったが、統率者に依存しないことで、相手にこちらの行動を意識させず、タイミングを見計らって決められる。トラシオス&ティムナからタッサの神託者が出てくるのは、もはや当たり前のことだし誰もが知っていることだけど、だからと言って見え見えのズアーを放置して、執拗にティムナを倒す人は、普通はいない。
ヴィリスを生かすに当たって最適な統率者は何か。
ジェネラルケリクのように最初から突っ走るわけではなく、手札とマナを整えて隙を見てコンボをするため、統率者には時間を稼げてカードを引ける者が最適に思える。また、ケリクや儀式系カードの兼ね合いで黒メインがいい。
一応、考えてみた候補としては
・ヨーグモス
・ルールス
・マルチェッサ女王
・ティムナ+ラーボス
・ティムナ+コンド
黒単と言うと、まず、ヨーグモスが挙がった。
カードを引ける能力、プチプチとマナクリを潰して時間を稼げて、一見して最適に見える。サクリ台というのも、色んなループをするにあたって都合が良い。しかし、実際には使いづらさが目立つ。ヨーグモスのための生け贄が厄介。生け贄がなければ、まともにコントロール出来ないのだが、生け贄軍団がスロットをくうと、ヴィリス関係のカードと合わさってデッキが動かしにくい。ヴィリスのための専用カードは、専用というほど使い道が限定されているわけではなく、確かに単品でも他の動きに組み合わせて使えるのだが、しかし暗黒の儀式からセンギアの従臣を出すのはさすがに弱くないか?
ほぼ黒単で、アドを取れる動きを出来るものに、ルールスがいる。
ルールスの良いところは、アドを稼ぐためのミシュラのガラクタなどはジェネラル不在でも動けるし(ヨーグモス専用の生け贄とは違う)、キャントリップなので無駄になりにくいこと。
しかし、EDHで安定してキャントリップを供給するには枚数を多く取る必要があって、それなりにマナが掛かるもの、例えば予備物資や他所のフラスコなども候補になる。何かパッとしない。マナなしで引けるジェネラルがいる中、カードを引くために沢山マナを使うのはなあ。更に言うと、沢山入れて、引きムラで手札にダブつくと最悪。テンポロスが甚だしい。
どちらかというと石鍛冶の神秘家や動く死体などを使い回すことでアドを狙いたいが、サクリ台の安定配置が今度はネックになる。特にアーティファクトを有効にサクれるカードは黒白では少ない(ブレイズ使えたらな、とホントに思う)。
無料でカードを引きたいとなると、マルチェッサ女王はどうだろうか。
自動的にカードを引ける。黒単ではネックだったマナ加速も印鑑が増えることでカバーされる。波止場の恐喝者をヴィリスで殺して何度もリアニメイトするのは、チェインコンボとしても良い動だし、Sacrificeに追加してBurnt Offeringもありがたい。
統治者になることで殴る対象になりやすいことが欠点で、ヴィリスのためにライフを残しておきたいんだがなあ。あと三色なので、黒マナにしか関与しないカードがどんどん使いにくくなる。
もう一つ挙げたいのが、ティムナ。
ティムナは何だかんだでタッサの神託者に収束しかねないが、例えばティムナ+ラーボスならほぼ黒単(タッチ白)で組める。とはいえ、マナクリ無しではティムナを生かしにくいので、ティムナ+コンドにする。この場合、マナクリと土地2-3枚で、1-3ターン目の行動が安定するので、重いカードや使用する状況が限定されるカードが重なってもキープしやすいし手詰まりにはならない。マルチェッサ女王と違って自分が殴られる理由はないし、微妙に固いコンドと、相手のブロッカーを無力にすることからライフも守りやすい。黒にありがちな生け贄シナジーもマナクリがいると組みやすい。話は逸れるが、統率者をヨーグモスを組んだ時に、緑のマナクリ使えたらどんなに良いかといつも思っていた。
欠点はやはり三色。マナクリを使うと緑スタートにせざるを得ないことか。あとは、多色化するなら、なぜタッサの神託者を使わないの?ってなりかねない。青がないデメリット以上のメリットがあるかどうか。
と、まあいろいろ試して、結局ティムナ&コンドは良い感じにおさまったので書き残してみる。
続く。
特に初動にall inのデッキは、デッキ全体が弱いシナジー重視のカードで形成され、キーカードやジェネラルを処理されることで多くがゴミになり、リカバリー不能となる。毎ターン土地を置けるわけでもなく、土地を置いたり置かなかったり。大した行動もせずにエンドを繰り返しているうちに、他のプレイヤーはマナも手札も充実させて(カウンターも握られているので)逆転の目が無くなる。これはEDHでの主な負け筋。昔と違ってスピードだけで押し切れることはなくなったので、高速コンボには付加価値が必要。
早くて安定!というのはデッキ構築をしている側からするとメリットに見えるが、対戦相手側からすると誰か一人が早いコンボを仕掛けるのは想定内で、安定しているかどうかは関係がないというのがポイント。
突撃→はじかれる→その後棒立ちというのは、マーウィンやズアーで散々経験した。
ゲームのシステム上、統率者を軸にデッキを組みたくなるけれども、統率者を中心に据えるほど固有カード(=統率者が処理されたときにゴミカード)が増えるし、弱点もわかりやすく対処されやすい。何よりもターンエンドして一周回って生存が前提というのは、妨害がたくさん飛んでくる多人数戦で期待する行為ではないと思う。
コンボの妨害耐性を上げるというのは一つの手。ジェネラルを起点にしている限り、それは成し得ないのでジェネラル以外の要素でコンボを組んで、ジェネラルがサポートする形は理想。例えばゴロスで母聖樹を持ってきて深淵への覗き込み。これはゴロスに詳しくない人はゴロスがマスカンであることに気づかないので(ハルクフラッシュ時代は最悪除去でも良かったので)、初見殺しという意味でも強い一手。
コンボ+カウンターを揃えるでも良い。つまり実質的に3枚コンボ、4枚コンボとして盤石にする。そのためにはカードを引く系のジェネラルも良い。ジェネラルを起点にしないと、どうしてもコンボ成立までのターン数は遅くなる(理論上の最速キルターンではなく、コンボが成立する平均速度が遅くなる)ので、中~長期戦になった時に戦えるように、カードアドバンテージ源が欲しい。そこに微妙な強さのジェネラルを採用することで、なるべく安定して引き続けるのが狙い。これがトラシオス&ティムナ。
インスタントウィンというのも重要な手。相手の隙をついてアクションを起こすことの有用性はハルクフラッシュが散々環境を荒らしたので周知となっているだろう。軽ければなお害悪。むかつきも重さを許容できれば、1枚で機能するので勝ちやすいカード。昔はむかつきに特化した初見殺しデッキもあったが、今ではカウンターを受ける可能性が高いのでむかつき特化は難しい。しかし相手のエンド時にカウンター合戦が発生しても自分のメインはガラ空きになるので、続く一手を用意できるデッキならば、実質的に妨害耐性が高いことになる。
では、それ以外に勝つ方法はないのだろうか。
僕は緑の大量ドローというのは、実は重要な勝ち手段だと思う。
例えば威厳の魔力で10枚引くと言われればマナ吸収や秘儀の否定を当てたくなる。生物をリセットしたくなる。でもリシュカーの巧技で5枚引くと言われたら?手札にある1枚しかない貴重なカウンターを使いますか?
これは多くの場合で見逃される。即死しないなら・・・と。しかし一度ここで大量のアドを稼ぐと、次の一手が妨害されても手詰まりにはならないし、何なら引いたカードでマナ加速、更なるドローを使い、もはや妨害を受け付けないほどの盤石な場になれる。場合によってはチェインコンボになって即死する。最初からチェインを狙うデッキと違って、この手の大量ドローは単品で仕事をするカードであり、ガイアの揺籃の地でのマナ回復も単品で仕事をするカードの集合体。そのため、チェインコンボに失敗しても、ちゃんと次の手があるし、仕掛ける際も気軽に仕掛けられる。似たようなドローは沢山あるので攻め筋も多い。
カードを引くという意味では
・トラシオス&ティムナでひっそりと引く
・隙を見てむかつきで沢山
・緑の大量ドローで5枚くらい引く
このどれも立ち回り上、有効であると思う。ただし緑のドローについては、ジェネラルの選択肢がゼガーナかティシャーナしかないし、威厳の魔力にしてもリシュカーの巧技にしても重くて他のカードとの組み合わせが大事なので、初手のキープハンドが少なくなりがちになることがつらい。
軽くて5枚くらい引ける方法はないのかと。軽ければ相手の隙をついて動けるし、自分の他のカードでも守りやすい。上振れで1-2ターン目に仕掛けることができれば妨害もされない。仮に2枚コンボになったとしても、即死させる必要はない。タッサの神託者より軽くてそろいやすければ良いのだ。
そこで、自分が着目したのがヴィリス。
納墓+再活性は1-2ターン目に仕掛けることが現実的だし、チューター経由でも2ターン目に仕掛けられる。暗黒の儀式など黒のマナ加速を余すことなく使えるのも追い風。仮に3ターン目くらいに仕掛けるとしても、マナが残せるのでカウンターや夏の帳で守ることもできる。
ほうほう。組み合わせで大量ドローを狙う緑に似たコンセプト。ライフを犠牲にする代わりに、軽いチューターと軽いマナで同じように大量ドローを狙えるわけだ。
2枚コンボなのに即死しないのでタッサの神託者の劣化になることが懸念されるが、若干軽くて速いメリットがあるし、少し重いカードまで視野に入れると、埋める側もライフを減らしながら釣る側も代替カードが多いので、「コンボがそろわない!」ということはないだろう。また低い確率ながらフルタップでヴィリスが出た瞬間の8枚ドローでマナアーティファクトなど工面してチェインコンボ風に動いてゲームを決めることができる。マナ基盤を増やし次の一手をいくつも打てるようになれば、ターンを返してヴィリスを処理されても問題なくなる。もちろん、ある程度マナがある状態でヴィリスを釣ることが出来ればゲームエンドになるのは、緑のデッキがリシュカーの巧技からチェインコンボを決めて終わらせるのと同じである。
このヴィリスを中心に据えるに当たって、他のデッキでは採用しがたいチェインに必要なカードとして、つまりは単体のカードパワーや活躍度を優先するトラシオス&ティムナに入らない専用カードと言える存在には、例えばこんなところが挙げられる。
スカージの使い魔
ファイレクシアの発掘者
アスフォデルの灰色商人
ヨーグモスの息子、ケリク
納墓
霊廟の秘密
ジャラドの命令
最後の別れ
霊気貯蔵器
殺し
再活性
生+死
暗黒の儀式
Sacrifice
弱者選別
忌むべき者の歌
陰謀団の儀式
もちろん、墓破りのラミアとか入れても良さそうなカードは他に有るが、大まかな話。
ヴィリスが場に出た後に、マナを復帰する手段がなければ、そのターン中に勝てない。その役割は、0マナアーティファクトだけでは足りないので、ケリクやスカージの使い魔、儀式系へのアクセスが必要。スカージの使い魔やケリクが居ないと、ライフを払うためにマナを使う余裕は少ないので、殺しのような0マナでライフを払えるカードは貴重。
さて、ここで一つ矛盾が有る。
統率者軸にして、統率者がいないと活躍できないカードを使うことでデッキに明確な弱点が出来ると言っておきながら、結局ヴィリスを軸にヴィリスに依存したカード選択がないと、満足に動けないというところ。しかし、ここには明確な違いがあると思っていて、統率者は公開情報、ヴィリスは非公開情報であること。
ズアーが見えれば誰もが対処を意識して行動する。初手のチューターはドレイクにしちゃおうかな、なんて。
しかし、例えばジラ・エリアンを見せられたときには特に対処を意識しない。そこから、誰かのコンボのやり取りを見た後に、奇襲で納墓+再活性からヴィリスが登場することで、ガッツリアドを稼いで勝利に近づける。
最初に述べなかったが、統率者に依存しないことで、相手にこちらの行動を意識させず、タイミングを見計らって決められる。トラシオス&ティムナからタッサの神託者が出てくるのは、もはや当たり前のことだし誰もが知っていることだけど、だからと言って見え見えのズアーを放置して、執拗にティムナを倒す人は、普通はいない。
ヴィリスを生かすに当たって最適な統率者は何か。
ジェネラルケリクのように最初から突っ走るわけではなく、手札とマナを整えて隙を見てコンボをするため、統率者には時間を稼げてカードを引ける者が最適に思える。また、ケリクや儀式系カードの兼ね合いで黒メインがいい。
一応、考えてみた候補としては
・ヨーグモス
・ルールス
・マルチェッサ女王
・ティムナ+ラーボス
・ティムナ+コンド
黒単と言うと、まず、ヨーグモスが挙がった。
カードを引ける能力、プチプチとマナクリを潰して時間を稼げて、一見して最適に見える。サクリ台というのも、色んなループをするにあたって都合が良い。しかし、実際には使いづらさが目立つ。ヨーグモスのための生け贄が厄介。生け贄がなければ、まともにコントロール出来ないのだが、生け贄軍団がスロットをくうと、ヴィリス関係のカードと合わさってデッキが動かしにくい。ヴィリスのための専用カードは、専用というほど使い道が限定されているわけではなく、確かに単品でも他の動きに組み合わせて使えるのだが、しかし暗黒の儀式からセンギアの従臣を出すのはさすがに弱くないか?
ほぼ黒単で、アドを取れる動きを出来るものに、ルールスがいる。
ルールスの良いところは、アドを稼ぐためのミシュラのガラクタなどはジェネラル不在でも動けるし(ヨーグモス専用の生け贄とは違う)、キャントリップなので無駄になりにくいこと。
しかし、EDHで安定してキャントリップを供給するには枚数を多く取る必要があって、それなりにマナが掛かるもの、例えば予備物資や他所のフラスコなども候補になる。何かパッとしない。マナなしで引けるジェネラルがいる中、カードを引くために沢山マナを使うのはなあ。更に言うと、沢山入れて、引きムラで手札にダブつくと最悪。テンポロスが甚だしい。
どちらかというと石鍛冶の神秘家や動く死体などを使い回すことでアドを狙いたいが、サクリ台の安定配置が今度はネックになる。特にアーティファクトを有効にサクれるカードは黒白では少ない(ブレイズ使えたらな、とホントに思う)。
無料でカードを引きたいとなると、マルチェッサ女王はどうだろうか。
自動的にカードを引ける。黒単ではネックだったマナ加速も印鑑が増えることでカバーされる。波止場の恐喝者をヴィリスで殺して何度もリアニメイトするのは、チェインコンボとしても良い動だし、Sacrificeに追加してBurnt Offeringもありがたい。
統治者になることで殴る対象になりやすいことが欠点で、ヴィリスのためにライフを残しておきたいんだがなあ。あと三色なので、黒マナにしか関与しないカードがどんどん使いにくくなる。
もう一つ挙げたいのが、ティムナ。
ティムナは何だかんだでタッサの神託者に収束しかねないが、例えばティムナ+ラーボスならほぼ黒単(タッチ白)で組める。とはいえ、マナクリ無しではティムナを生かしにくいので、ティムナ+コンドにする。この場合、マナクリと土地2-3枚で、1-3ターン目の行動が安定するので、重いカードや使用する状況が限定されるカードが重なってもキープしやすいし手詰まりにはならない。マルチェッサ女王と違って自分が殴られる理由はないし、微妙に固いコンドと、相手のブロッカーを無力にすることからライフも守りやすい。黒にありがちな生け贄シナジーもマナクリがいると組みやすい。話は逸れるが、統率者をヨーグモスを組んだ時に、緑のマナクリ使えたらどんなに良いかといつも思っていた。
欠点はやはり三色。マナクリを使うと緑スタートにせざるを得ないことか。あとは、多色化するなら、なぜタッサの神託者を使わないの?ってなりかねない。青がないデメリット以上のメリットがあるかどうか。
と、まあいろいろ試して、結局ティムナ&コンドは良い感じにおさまったので書き残してみる。
続く。
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