イクラ&クラムで検索すると調理レシピばかり出てくるので逆襲。


デッキとしては自分好みの良い感じになった。

https://www.moxfield.com/decks/NX_10W4ebE6eI7zaCL1noQ

ログラクフ&テヴェシュの高速コンボデッキから、ログラクフのトップスピードが落ちた分、ヴィリス周りが充実して、妨害能力と妨害耐性がかなり上がった。

・むかつき
・深淵への覗き込み
・納墓+再活性→ヴィリス
・タッサの神託者+デモコン
・死の国からの脱出

即効性のあるコンボの詰め合わせである。

基本的には死の国からの脱出は、これからスタートすると高速コンボにはならないので、早いターンで黒の大量ドローを成功させ、死の国からの脱出を設置してLEDで全部捨てる、というのが一番狙うコンセプト。

今回はこのデッキについて少し解説する。


★メインコンセプト

いわゆる2KILL狙いの高速コンボである。同時に、対戦相手からの妨害を集めにくいように、強力なアクションは基本的には即死コンボに直結するものを採用し、仕掛ける時以外は、狙われるような中途半端に強い動きをしない。

こういった自分が妨害を受けにくくして漁夫の利的な勝利を狙うコンセプトはトラシオス&ティムナが行っていたが、結局最後にトラシオスがアドを稼ぎ続けることがバレて早々に除去されるためロングゲームでの優位が成立しにくくなった。トラシオス&ティムナでは構造上、土地2枚から勝つことは出来ず、仕掛けるタイミングが読めてしまうし、土地事故や相手の妨害でマナベースがガタガタになったときに巻き返すことが難しい。

また、ターンを跨いで準備する必要があるコンボは対戦相手から妨害を集めてしまう。勝てないのに除去の的になるパワーカードは、結局妨害合戦が始まって無駄にマナとリソースを消耗してしまう可能性がある。

多人数戦をしておいて、こんなことを言うのもおかしな話だが、対戦相手とのやり取りが増えるほど、相手が自分に妨害を使うかどうか(それとも他のプレイヤーに使ってくれるかどうか)が重要になっていき、自分ではどうしようも無い負け筋が増えてしまう。

効率を求めたときにパズルゲームはパズルをしないで周回するようになるし、歩くゲームは如何にして歩かずに収集するかというアレと同じ。最適化、効率化とは、そのゲームの根幹のシステムの否定である。


・妨害される前に早々にゲームエンドを狙う
・相手に妨害を使われにくい動きを意識

こういった構築によって、対戦相手との対話を減らして不確定要素を減らすのが狙いである。

まあ、それでも妨害合戦は始まるからね。対話はちゃんとする。毎回妨害されるのは嫌だけど、たまには打ち合いたい(わがまま)。

とはいえ、トラシオス&ティムナよりもムラがあって不安定な構築なので手札が噛み合わないマリガン死が増える欠点がある。しかしこれに対しても、マナスクリューから勝てないわけではないので(ヴィリスを釣れば完全リカバーなので)、何とかならないことも無い。


★統率者について

2KILL狙いの高速コンボにありがちなことなのだが、早いターンでコンボを仕掛けるときには統率者の出番は極端に少ない。その中でもログラクフは、弱者選別、モックス・アンバーなど固有の貢献をするが、それでも全ての行動に関与するわけではない。

こういった統率者が絡まない高速コンボの動きを突き詰めていくと、結局統率者はある程度使えれば何でも良くて、色が多い方が良くなる。

とはいえ、五色では統率者自体の弱さが気になる。

実は同じようなむかつき、ヴィリスなどのコンセプトを内蔵しつつ、ドリーム・ホール1枚コンボがあるティアマトも試してみたが、ティアマト自体が素出しでリソースを稼ぐことに向いてないので手詰まりになり易いし、パワーカードの偏向はたき、激情の貢献を実質捨てることになる。

色を増やしつつ、リソースを稼げるちょうど良い統率者としてクラムに目を付けた。

テヴェシュは派手に3枚ドローするが、クラムはこっそり3枚くらいドローしている。この目立たなさは、EDHでは重要な要素である。テヴェシュは目の敵にされがちだし。

少しグダるとライフの奪い合いになるので、殴っても強くて、守りも堅い、特に金粉のドレイクを受け止めるボディは、ライフをリソースにするデッキではとても頼りになる。

イクラは半分カラーマーカーだが、守りがより固くなるので、ロングゲームで不利になりにくくなる。そもそも統率者が登場する時は高速コンボが何らかの理由で出来ない場面であり、2枚目の統率者が登場するのは、更にロングゲームである。クラムがアタック(+ライフゲイン)、イクラはブロッカーという攻守一体の動きは、相手に無理な攻めを強要させ、自分のライフが落ち込んで詰みを回避してくれる。



★Sacrifice、Burnt Offering

イクラとクラムを出すことは、基本的には“寄り道”になるわけだが、これを攻めに転換させる手段として

・Sacrifice
・Burnt Offering

がある。微妙にコストが高いイクラとクラムを有効にマナに還元できる。深淵への覗き込みは重いし、死の国からの脱出からチューターを連打するなど、マナは沢山あるだけ攻める選択肢が増える。多くのデッキで、実質1枚コンボというのは考慮されると思うが、これらはマナが膨大になりがちで結局あんまり使えなくて抜けたりする。黒赤の特権として、瞬間的なマナ加速が強烈なので、多少重くても色々選択肢に入ってくる。

Sacrifice系のカードはヴィリスの基本パッケージでもある。納墓+再活性→ヴィリスで8枚ドローから勝ちに行く基本パターンは

①水蓮の花びら、Sacrificeでフルタップから黒8マナを生み出す→深淵への覗き込みや他のコンボへ

②Sacrificeでヴィリスを生け贄にし、再活性(もしくは生+死)で再度釣り直して、マナも手札も増やす

こういった流れとなる。Sacrificeはメインの高速コンボの中核となるパーツでありながら、統率者を生かした動きにも使え、無駄が少ない。

あとは地味に大事な点として、ヴィリスや統率者をSacrificeする動きがあると、アーティファクトに瞬間的な加速を依存しすぎないので、無のロッドやアウフで止まりにくくなる。アーティファクト対策は結構乗り越えられることが多い。


★ヴィリス

実はこのデッキはむかつきよりもヴィリスを狙うことが多い。

むかつきはデッキ内の勝ち手段や攻める手段を増やすほどにコストが上がって捲れるカードが減ってしまう。一方でデッキの軽量化を狙いすぎると、少し妨害を受けるだけで詰みに近くなる。この塩梅が難しい。

ある程度軽量化した程度では、自分のターンでフルタップで使っても勝てる確率は低い。結局相手のエンド時に打つかなあ、とか迷ってしまうと2ターン目に仕掛けられなくなる。むかつき死の恐怖感から、どうしても無難な動きを狙ってしまう心理的なハードルがあるし、何より失敗は萎える。

ヴィリスは8枚ドローしながら場に出て、最悪エンドしても良い。ログラクフ&テヴェシュから青が増えたことで、カウンターで守って次のターンに仕掛けるというのが狙いやすくなったし、最悪除去されても8ドローした時点で次の仕掛ける手が何かしらあるはず。

もちろんヴィリス自体も、フルタップで釣ってそのまま勝つパターンもある(マナが残っていればもっと確率は上がる)。

また、ヴィリスは2ターン目までに仕掛けるハードルが低い。チューターを挟んでも納墓+再活性は2ターン目に出来るし、ログラクフ&テヴェシュから青と緑が増えて、

神秘の教示者
生+死

と核になるカードが追加された。再活性の代替が増えたのは特にデカい。

ヴィリスの強い点はまだあって、初手のチューターでマナ加速を持ってこなくても良い点である。ハルクフラッシュの時も同じだったが、コンボが軽いためにダイレクトにコンボパーツを集める動きが肯定される。多少の土地事故も、マリガンで手札が少なくなっても、簡単に巻き返せる。土地事故はどうしても避けられないし、アクティブなマリガンや下振れにもチャンスを残しやすい。


★マナクリ

緑の無いデッキは1ターン目の動きが寂しくなりがち。貴重な吸血の教示者を消費してマナ加速を持ってこないといけないのも渋い。

マナクリは1ターン目の展開だけでなく、ヴィリスで沢山引いて、適当に展開してエンドするときにも消費しやすいカード。

トラシオスのようにどんどんマナを伸ばしてロングゲームを狙うわけではないので、マナクリの重ね引きは弱いため、緑以外が出せるものを優先して絞った。


★小技や個別の解説

最後に即死コンボではないが重要な動きをいくつかピックアップ。

・死の国からの脱出+LED

この2枚を持っているときにむかつきなど大量ドローを使う場合は

①死の国からの脱出を設置
②LEDで全部捨てる
③墓地から脱出でむかつき

と使うことも考える。死の国からの脱出を後で設置しようとすると、むかつきからマナ加速を数枚捲ることが必須になってしまい、むかつき死の可能性が残る。先に死の国からの脱出を設置することで、LEDもマナ加速として使えて得をする。


・ヴィリスを釣る前にLEDを切る

死の国からの脱出とセットで使うLEDは、色んなデッキで結構持て余しがちだと思うけど、このデッキではヴィリスを釣る手段に対応して有効活用しやすい。黒マナを沢山出しておけば、Sacrifice系カードのタネになるだけでなく、ヴィリスの能力も沢山使える。


・ヴィリスがいるときに吸血の教示者、伝国の玉璽を使うと積んだカードがすぐ手に入る

カードをトップに積んでからライフを失うため。


・沼

血染めの月対策であり、暗殺者の戦利品や流刑への道からのサーチ候補。

トラシオス&ティムナでは、1枚くらい基本土地があったところで血染めの月が出たら負けなのだが(悪足掻きは出来るけど結局負けるのだが)、このデッキは黒1マナあれば儀式系カードやモックスから大量ドローに繫いで、死の国からの脱出は問題なく設置できて勝ちに行ける。

実際に1ターン目に血染めの月をおかれて、返しに2KILLしたゲームもあるし(その時は沼ではなくて別の黒マナ源だったけど)、沼を入れる価値はあると思う。


・急速混成、四肢切断

よく黒緑のデッキだと突然の衰微や暗殺者の戦利品が入っているけど、構える暇あるの?対抗呪文ではなくて払拭や唱え損ねを優先するゲームなんだから、除去は対象が狭くても軽い方が良い。

本当はヴィリスとの相性で殺しを使いたいけど、沼の確保が不安定だから見送ってしまった…

はらわた撃ちの0マナ&ルーズライフは魅力だけど、現状対処したいのはせめて2点、出来れば3点は欲しいので採用候補にならない。

潰瘍化はアリ寄りのアリ。


・敵対工作員、選別の儀式

強烈に刺さったときの成功体験が忘れられなくて抜けずにいる。未練がましくて情けない。最速ムーブには邪魔なだけだし、ゲームが長引いてどうしようも無くなってもお願いサイクロンがあるしなあ。

最近はヴァルキー/ティボルトに注目しているので、入れ替えて試したい。




とりあえず、現状はこんな感じ。

今のところ勝ちに行くために持っていくとしたらこのデッキかなあ。とはいえ、昨今の2KILL特化時代では、駆け引きや立ち回りではどうにもならない運要素が強くて、安定して勝てるわけではない。先行取れなきゃ捨てゲー。

ハルクフラッシュ時代の方が、上振れ最速ムーブはあったにしても全体的なゲームスピードは1ターン以上おそくて、プレイングで巻き返す余地は多かった。今のEDHは手番含めて運要素が大きすぎて、競技的(Competitive)という言葉は、あまり好きになれない。

まあカジュアルフォーマットなんで、気楽に各々が1KILL、2KILLして「俺何にもしてないんだけど~」というお決まりのコントを繰り返すのが現代EDHの楽しみ方。

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